医学講座
形成外科地方会2009年2月
昨日(平成21年2月7日)、
日本形成外科学会北海道地方会がありました。
昨日で第77回目です。
年に3回開催されます。
北海道内の形成外科の先生が
集まって開く学会です。
私が医師になった頃は、
年に2回程度でした。
もう30年以上続いています。
■ ■
昨日の学会で、
帯広厚生病院形成外科の
池田正起先生が
切除不能な表在性悪性腫瘍に対するMohsペーストの使用経験
という演題を発表されました。
私たち形成外科医は、
皮膚悪性腫瘍の手術をします。
外科医なので手術で取るのが仕事です。
■ ■
でも、中には手術適応とならない癌もあります。
高齢で手術に耐えられない。
肺などに遠隔転移していて、
手術をしても生命予後が変わらない。
全身的な合併症で、
手術ができない。
本人も家族も手術を希望しない。
などさまざまな理由があります。
■ ■
手術をしないと…
癌は大きくなります。
そのうち、
癌から血が出てきます。
大人の手より大きくなった癌から、
毎日出血すると大変です。
ガーゼでは覆い(おおい)きれないので、
紙おむつなどを使用します。
それでも出血し続けます。
■ ■
輸血をしても、
すぐに貧血になるほど出血します。
もっと困るのが悪臭です。
この世のものとは思えないほどの悪臭が、
病室中に充満します。
私はかなり悪臭には強いほうですが、
その私でも耐えられないほどの臭いが出ます。
癌が部分的に壊死(えし)という
組織が死んでしまった状態となり、
そこへさまざまな細菌が感染するためです。
■ ■
癌の末期には、
疼痛(いたみ)が出ます。
痛みは麻薬で抑えられますが、
この出血と悪臭だけは、
どうにもならないほど耐えられないものです。
私も形成外科医時代には、
とても苦労しました。
池田先生のご発表は、
1930年代に米国の外科医
Frederic E. Mohsが発表した方法です。
■ ■
塩化亜鉛という薬が主成分です。
この薬で癌を治療します。
この方法で治療した患者さんの癌が、
驚くほど小さくなっていました。
もっと驚いたのが、
出血と悪臭が軽減したという報告でした。
1930年代というと…
もう70年以上も前です。
どうして医学部で教えてくれなかったの?
と思いました。
使用する機会がないといいのですが、
勇気がある方は
こちらのHPの最後をクリックなさってください。
末期がんの悲惨な状態がわかります。
池田先生ありがとうございました。
勉強になりました。
亜鉛華澱粉を使用しているのですね。
塩化亜鉛などと混ぜてペースト状にしているのですね。
過去に知っている先生が皮膚炎の治療に亜鉛華澱粉をグリセリンか何かで混ぜていた軟膏を処方している先生がいたような・・・(軟膏の内容が違ったらすみません)
実際に悪性腫瘍や重度の床ずれなどで皮膚が壊死して、細菌が感染すると何とも言えない悪臭は本人だけでなく治療する側も正直つらい場面でもありますね。
過去にも皮膚が壊死してそこから出血し、止まらなくなり・・・という場面はありましたが本当に恐ろしい予後ですね。
実際にHPで見ましたが実際に70年前から使用されていたということですが、このように情報の発信により少しでも治療に用いられるといいですね。
久しぶりに私も少し勉強してみました。
そして勉強になりました。
お疲れ様でした。 先生方の研究で日々医学が進歩して行くのがわかります。手術できない癌もあるのですね。
父の兄 が余命7日といわれてから7日たちました。おじさんも肝臓癌でした。いろんな病気を克服してきたのに癌には勝てませんでした。後は 痛みが少ない事祈るばかりです
当院では日光角化症の治療は5FU軟膏を使用した密封療法(ODT)を行っています。この方法だと手術をしなくてもきれいに悪性の部分が取れて、その後キズを治して終了です。
日焼けサロンで黒くなって喜んでいる若者達、海辺でオイルを塗って太陽をサンサンと浴びている若者達は気をつけた方が良いと思います。