医療問題
医師の激務
平成19年10月17日、朝日新聞朝刊-声-の欄へ読者からの投稿です。
医師の激務は分業で解消を 医師 44歳女性
私は今月初めの3連休の日曜日、病院で小児科の救急診療を担当しました。診療は切れ目なく、昼食の時間もとれないほどでした。
連休明け、匿名の母親から私あてに苦情メールが届きました。「2日続けて救急外来に通院したのに、ともに薬は1日分だけだった」「熱は下がったが、せきはひどくなった」。
あげくに「風邪の患者を殺すつもりか」と非難されました。
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救急外来は、生死にかかわる症状の患者さんのためにあり、救急での投薬も1日分しかできません。救急車で運ばれる患者さんは優先して診療しますが、「3日前から熱があって……」とかの方々が大半です。
器具を使って赤ちやんののどを調べて泣かせた、との苦情もありました。こんなことは医師を消極的にさせます。そして、産婦人科や小児科、救急医療から医師を遠のかせます。(以上、朝日新聞より引用)
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私が総合病院の救急当直をした時のことです。ピアスが化膿したという方がいらっしゃいました。
数日前から調子が悪かったそうですが、昼間は混んでいるので、夜間の救急外来にいらっしゃいました。しかも午前0時を回ってからです。
たまたま形成外科の私が当直でしたが、外科や整形外科の先生が担当だったら、申し訳ありませんが、明日、形成外科へかかってくださいで終わりです。
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夜間や休日にできる治療や処置は限られます。
救急病院を受診しても、専門医がいるとは限りません。
子供さんの急病は仕方がないとは思いますが、小児科の先生もギリギリの人数で精一杯働いています。
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一日分しか薬が出ないのは、その病院のシステムのためかも知れません。
そのお母さんは、せめて3日分くらいお薬を出して欲しかった、ということを訴えたかったのか?とも解釈できます。
いずれにしても、このような状況を続けていると、小児科を志す先生はいなくなってしまいます。
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医学部を志す人は、少しでも社会の役に立ちたいと願って志願するはずです。
小児科や産婦人科は、少子高齢化を防ぐのにはなくてはならない診療科目です。
一人でも多くの医学生や臨床研修医が、希望を持って働けるようなシステムを作って欲しいと思います。
楽で儲かる仕事なんかはありませんが、苦労が報われないと誰でも働く気力を失います。