医療問題
命のバトン
平成22年8月17日、朝日新聞、天声人語です。
腎臓移植を受けた女児の母親が、提供者の家族に送った言葉がある。「命を確かに引き継ぎました。お陰で娘は元気に小学校へ通っています」。仲立ちした日本臓器移植ネットワークの冊子で見た。３年間の透析生活を脱した少女は、神様にもらったと信じているそうだ。
一つの喪失が一つの再生をもたらす臓器移植は、命のリレーといわれる。いわば涙の水彩で花束を描き、見知らぬ家族に贈る行為である。鼓動が響く脳死段階での決断ともなれば、涙の色はより濃いだろう。
本人の書面ではなく、家族の承諾による脳死者からの臓器移植が、国内で初めて実現した。交通事故に遭ったその男性は生前、臓器を提供してもいいと家族に語っていたという。若い心臓や肝臓が５人に移された。
脳死移植の条件を緩めた結果である。15歳未満の小さな臓器も生かせることになった。海外で移植を目ざす「○○ちゃんを救う会」を必要としない時代を待ちたい。とはいえ脳死宣告に沈む家族には、気持ちを整える時間が要る。決断を急（せ）かすことは許されない。
移植を待ちながら、提供者に転じた少年がいる。心臓移植のためドイツに渡るも、直後に事切れた11歳だ。万一の時の覚悟を問われ、「僕は人からもらわんと生きられないから、使えるもんは何でもあげる」と言っていた。
息子の臓器を現地で供した親は、移植で救われた同世代に語る。「誰に何の遠慮もなく、すくすくと成長してほしい」。最愛の人が何人かの中で生き続ける。この安らぎなくして、命のバトンはつながらない。
（以上、朝日新聞より引用）
■ ■
さくらんぼさんのご家庭でも、
臓器移植に対する考えが違うと伺いました。
私の家では…
私が臓器提供をすることについて、
反対する家族はいません。
家族でも考え方はさまざまで、
積極的に○を付けているのは私です。
■ ■
私は実際に脳死患者さんを見て、
自分の考えが変わりました。
救急医療の現場にかかわることができて、
よかったと思っています。
自分が救急へ搬送されたら、
市立札幌病院の
鹿野恒先生のような救急医にかかりたいです。
もしダメだったら…
喜んで臓器を差し上げます。
■ ■
私の子どもや家内が、
臓器提供に○をつけていて、
もしダメだったら…
本人の意思を尊重します。
でも…
今はいないけれど…
孫はどうでしょう？
ちょっと自信がありません。
■ ■
まず、親の意思を尊重します。
私の意見を求められたら…
否定はしないと思いますが…
もう一人のおじいちゃんや
おばあちゃんの意見も尊重します。
つまり…
自分の子供の伴侶となった方と、
そのご両親が反対していれば…
無理にはすすめられません。
■ ■
逆に…
自分の孫が…
臓器移植しか助からないとわかれば、
世界中どこへ行っても助けると思います。
身勝手で…
わがままなじいちゃんです。
子供の命は助けたいし、
孫はめんこいし、
人間とは勝手なものだと思っています。
“命のバトン”へのコメント
コメントをどうぞ
私の家族は臓器移植の話しをよくします。 私と長男は すべてあげたい。次男はあげない。理由は 死んだら無になる。今はあげたくないが 死んだらどうしてもいい。主人は 自分の肉親にはあげるが、他人には嫌だ。でも 今息子が突然脳死になったら、、動揺すると思います。家族で話ししてみてください。命のリレーについて。
追記
今日は夕方主人と主人の実家のお盆の回り燈籠、座布団など片付けに行き帰り臓器移植について話しながら先程帰りました。今 息子が 事故で 脳死になったと聞いて すぐに 臓器移植して欲しいなどと 言える人はいないと思うと主人。時間が経ち 脳死のままで 考える時間がないと 臓器移植の事は考えられないと。かりに私が今脳死になっても たぶん 移植は反対すると言われ、私自身も息子が今脳死したと言われても、すぐには 死を受け入れられないかもしれない。と思いました。先生は 仮に息子さんや娘さん、奥様が 朝まで元気だったのに事故で夕方脳死と言われてドナーカードを持っていたら、提供しますか？ 私も先生が仮に突然脳死されたら 今まで十分に人を助けてこられたから、綺麗なままで 旅立って欲しいなあと思います。本間先生の息子さん娘さんのご意見も聞きたいです。深く考えると難しい問題ですね。
この前、改正した臓器移植法について、良い点と悪い点についてNHKでやってました。最初から見れなかったのですが、改正した法律について、臓器移植が増え救われる命がある一方、「本人の意思よりも家族の意思が尊重される」→命が軽視される恐れがあるのでは?と問題提起するお言葉がありました。私は、以前、改正前から臓器移植について、「本人の意思よりも家族の意思が反映される傾向がある」などという様なコメントを書いた記憶があるのですが、番組でもその点に触れられていました。
ご本人の意思が一番ですが、意思表示していない時は、ご家族がご判断ということになります。ご家族の中で意見が分かれるのも個々によって死生観が違うので難しいですが…。最終的には、ご本人(患者)にとって、キーパーソン(重要他者)にあたる方が最終判断ということになりますが、交通外傷による脳死状態の場合は、ご家族の心理状態を把握し医師や看護師がフォローに入らないといけないと思います。コーディネーターは臓器(病名や血液型だけ)だけ視るのではなく、患者の生きてきた過程を理解するとともに、ご家族の気持ちをくみ取り(喪失感など)、患者さんの臓器がどのように生きているか、それを詳細に知ることで、喪失感→あの時、移植を決断して良かったと思えるようになるようになるのではないだろうか。
体温より暑い日が続いております。先生、皆様、熱中症にご注意下さい。こまめな水分補給を〜