医学講座

日本形成外科学会(名古屋)③

 今日、名古屋から札幌へ帰って来ました。
 新千歳空港に着いて、飛行機のドアが開き、
 一歩外(ボーディングブリッジですが…)へ出ると、
 そこは北国でした。
 外気温が名古屋と比べると低く、桜はまだ…と思いました。
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 今回の日本形成外科学会で私が見た発表の中から、
 一般の方に役立つ情報をお伝えします。
 札幌スキンケアクリニックの、
 松本敏明先生がご発表なさった、
 刺青のレーザー治療
 ―その限界と問題点―
 削皮術併用法の効果と諸問題
 です。
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 松本敏明先生は、北大形成外科の先輩です。
 私の札幌医大の先輩でもあります。
 私が北大へ行こうかどうか迷っていた時に、
 自宅に電話をくださった先輩です。
 松本先生はレーザー一筋30年。
 日本のレーザー治療のパイオニアであり、
 先駆者のお一人です。
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 レーザー機器に対する、一般の方の大きな誤解があります。
①高価なレーザーで治療すれば、跡形もなくシミが消える。
②レーザーを当てると、消しゴムで消したように…
 一瞬で、シミも刺青も消える。
③レーザーを照射した後には、何もアトが残らない。
④レーザーは手術と違って痛くも何ともない。
⑤レーザーで治療すると、通院の必要がない。
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 ①~⑤はすべて×です。
 誤りです。
 レーザーは特定の波長を持った光です。
 その光を調節することによって、
 毛、シミ、刺青、血管腫、アザなど
 その原因となっている色だけに反応させます。
 たとえば、レーザー脱毛は、黒い毛に反応させます。
 毛をヤケドさせて、毛根まで焼いてしまいます。
 そうすると、毛が生えてこなくなるという仕組みです。
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 シミにも毛にも黒い色素があります。
 黒い毛に反応させて、白い皮膚には反応しない光をつくると、
 毛だけヤケドします。
 ただ、毛が焼ける時に、
 周りの皮膚も少しだけダメージを受けます。
 ですから、毛があった部位が赤くポツポツとなります。
 レーザーフェイシャルですと、
 上口唇(ウワクチビル)や前額部(おでこ)が赤くなります。
 毛が濃くて太い人が余計赤くなります。
 (それだけよく効いている証拠です)
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 レーザー機器は米国で開発され、日本に輸入されました。
 はじめて、米国で治療した症例写真を見た時に驚きました。
 刺青がキレイに消えていました。
 レーザー屋さんの説明では、
 刺青がキレイに取れますと言われました。
 ところが、米国人と日本人は肌の色が違います。
 キレイに取れていたのは、白人でした。
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 同じレーザーを使っても、日本人の刺青は厄介です。
 レーザーだけでキレイに取れる刺青は、
 墨汁だけで浅く入れた刺青です。
 それでも、レーザーをかけた部位は、
 赤くⅡ度のヤケド状態になります。
 ヤケドを上手に治さないと、アトが残ります。
 龍の絵や、般若(ハンニャ)の絵の刺青。
 花の絵や人の名前。
 これらはたとえ墨汁だけで彫られていても、
 レーザーを当てて色が取れても、
 薄く絵の形や人の名前が読み取れることがあります。
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 松本敏明先生が30年のご経験から得られた結論は、
 レーザーだけでは刺青は消せませんということです。
 特に難しいのが、カラフルな多色刷り状態の刺青です。
 松本先生のクリニックにある、
 10台以上のレーザーを組み合わせても、
 レーザーだけでは取れない刺青があります。
 これを、ライフワークのように学会で何度も啓蒙していらっしゃいます。
 学会で発表しても、一銭の儲けにもなりません。
 若い先生や後輩に伝えたいから発表なさっているのです。
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 私は、刺青の相談があると、
 ほぼ100%松本敏明先生にご紹介しています。
 個性が強い先生ですから、時には声が大きいこともあります。
 ただ、レーザー治療にかける情熱は誰にも負けません。
 おそらく日本で一番熱心に、
 若者の刺青治療をなさっていらっしゃいます。
 松本敏明先生の札幌スキンケアクリニックは、
 札幌市北区北9条西3丁目高野ビル3階。
 電話:011-728-4103(ヨイレーザー)です。

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