医学講座

日本形成外科学会(名古屋)④

 学会では特別講演というのがあります。
 形成外科学だけではなく、他分野の専門家を招いて、
 私たちにいろいろなことを教えてくださいます。
 今回、鳥居教授が招かれたのは、
 京都大学霊長類研究所の松沢哲郎所長(教授)です。
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 京都大学といっても、霊長類研究所があるのは、
 愛知県犬山市です。
 霊長類研究所のことは、おぼろげに知っていましたが、
 どんなところで何を研究しているかは知りませんでした。
 松沢先生はチンパンジーに字や言葉を教えました。
 ビデオで、チンパンジーの子供が、
 一瞬にして数字を覚え、
 見事に1→2→3→4→5→6→7→8→9と
 指で順番に押すのを見ました。
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 更に驚いたことに…
 京都大学の大学院生より、
 チンパンジーの子供の方が、
 一瞬、TVモニターに写る数字を覚える能力が、
 (これを直視像記憶と言うそうです)
 優れていることがわかりました。
 私もビデオを見ていましたが、
 チンパンジーの子供に負けました。
 こちらの中京テレビHPでご覧になれます。
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 松沢教授が育てて、
 数字や文字、色を教えたのは、
 アフリカ生まれのメスのチンパンジー、アイ。
 AIと書いて、アイです。
 アイプロジェクトと名付けられた、
 アイの教育は、単なる研究とは思えませんでした。
 自分の子供のように、
 アイを愛している松沢先生がいました。
 アイが産んだ子供が、アユムという男の子です。
 京大大学院生より‘成績’がよかったのは、
 息子のアユムでした。
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 松沢先生の講演で、
 人間とチンパンジーのDNAは1.23%しか違わないこと。
 サルにはシッポがあるが、
 人間とチンパンジーにはないこと。
 サルとチンパンジーは違うこと。
 人間もチンパンジーも同じ類人猿であること。
 を知りました。
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 チンパンジーの育児は、
 母親が手本を示し。
 子供が自発的にマネをし。
 子供に寛容であること。
 人間の育児は、
 教える。
 手を添える。
 認める。
 うなづき、ほほえみ、見守るのが人間。
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 チンパンジーは5歳まで母乳を与えます。
 母乳を与えている間は、生理が来ません。
 ですから、
 チンパンジーには、
 年子も2~3歳離れた兄弟姉妹もいません。
 5年間は母親がしっかり子育てをします。
 アイの息子のアユムも、
 しっかりと母親のアイにつかまっていました。
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 松沢先生の講演で、
 約500万年前まで、
 人間とチンパンジーは、同じひとつの生き物だった。
 チンパンジーの姿を通して、
 この500万年を遡って(サカノボッテ)、
 私たちはどんな進化の過程をたどって?
 現在あるような
 姿・形・心・行動・ふるまいになったのかを
 研究なさっていることがわかりました。
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 チンパンジーに対する限りない愛情と、
 西アフリカのギニアで
 チンパンジーが絶滅の危機に瀕していること。
 京都大学の大学院生が、
 現地で寝泊りして研究を続けていることを知りました。
 本当に、世の中にはすごい人がいると思いました。
 私もいつか、アフリカでチンパンジーと暮らしてみたいと思いました。
 素晴らしい講演をしてくださった松沢教授と
 講演を企画してくださった鳥居会長に感謝いたします。

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