昔の記憶
定年後「イクジイ」の出番だ
平成22年11月1日、朝日新聞朝刊、声の欄への投稿です。
定年後「イクジイ」の出番だ
無職 木本和男(埼玉県上尾市 64)
わが家の近くに所帯を持った娘は妻と同じ看護師で、孫にあたる3歳の一人娘を職場の保育室に預けて大学病院で働いている。その孫がいよいよ来春から幼稚園。子守役に、定年退職後、料理の腕を上げた私の出番が待っている。
先日、通園予定の幼稚園の説明会に娘と孫と聞きに行った。周りは若いママばかり。じいちゃんは一人もいなかった。朝8時半に迎えのバスが来て午後2時に帰宅のバスが着くと説明された。妻か娘が戻る午後7時過ぎまで、孫と2人きりになる生活が、来春から始まるというわけだ。
思い返せば33年前。妻が職場復帰する折、1歳になる娘の子守のために私の母が同居することになった。母は初め戸惑いを見せていたが情は移り、娘が成長するまで宝物のように慈しみ育ててくれた。
母は口にしなかったが、今思うと気苦労もあったろうとしのばれる。母のように孫を優しく守る自信は今のところないが、母が残してくれたわが家の孫のお守りの「伝統」はしっかり受け継ぎたい。
■ ■
私が知っている優秀な看護師さん。
仕事ができる人ほど、
しっかりと子供を見てくれる、
おばあちゃんがいました。
実家の母に育ててもらった
という言葉をよく聞きました。
■ ■
ばりばり仕事をしていた、
優秀な女医さん。
私が働けるのは…
実家の母のおかげ…
…とよく話していました。
子供さんといっしょに当直をした先生も、
一人だけ覚えています。
■ ■
じいちゃんが子育てをしたのは…
私の記憶にはありません。
私には孫はいません。
定年後に「イクジイ」になりたいです。
料理も勉強して…
「さいごのおべんとう」
を投稿してくださった、
千葉県松戸市の松岡清三さんのように…
79歳まで弁当を作りたいです。
■ ■
これからの少子高齢化社会。
イクジイになって、
働く女性の味方になる人が…
増えると良いと思います。
子供のためにも…
老人のためにも…
大切なことだと…
私は考えています。
イクジイは私の夢です。