医学講座

チームでなおす褥瘡ケア①

 チームでなおす褥瘡ケア
 恩師の大浦武彦先生の本です
 日本の高齢者医療の問題点と、
 増え続ける医療費を削減できる方法が、
 この本に書いてあります。
 先生の本の一部をご紹介します。
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 優れた褥瘡ケアは人間の尊厳を守ることにつながる
 依然として「寝たきり老人」が多い日本
 日本は世界一の長寿国で、平均寿命は女性86.4歳、男性79.6歳(厚生労働省2009年データ)である。しかし、寝たきりとなり、トイレにも行けず、一人で食べられず“生ける屍”のような状態で長生きしても、本当に幸福なのであろうか。経管栄養の発達は、ある意味ではこの悪しき状態に輪をかけている。植物状態で何の反応もなく、希望もなく生活させられ、経管から栄養剤を注入させられている彼らを見ると、フオアグラをつくるために“じょうご(じょうろ)”で食事を詰め込まれるガチョウを思い浮かべて悲しくなる。ここにはまったく人間の尊厳が見られない。なぜ日本はこのような「寝たきり老人の長寿国」となってしまったのであろうか? その原因は多岐に渡るが、ここでは褥瘡ケアの立場から分析してみたい。
 かつて「寝たきり老人ゼロ作戦」という目標が掲げられた老人医療の世界ではあるが、現在、長期療養の施設や在宅において褥瘡の治療をしている患者の80%の人が“寝たきり”である。
 少しは立つことができるが、日常生活の大部分は車椅子かベッドの上という高齢者は20%前後と少ない。しかも、これらの褥瘡患者には関節拘縮を持っていることが多く、褥瘡の実態を複雑にし、治療を難しくしている。
 著者は北海道大学を定年退官し、褥瘡の治療に携わって初めて知ったが、当時(1998年ごろ)は褥瘡に関する医学的データがまったくなかった。それまで褥瘡は医学の対象として取り上げられていなかったのである。そこで、この医療の谷間にあった褥瘡に何とか光を当てる必要を感じ、日本褥瘡学会を立ち上げ、褥瘡治療の重要さをアピールした。しかし、褥瘡の治療を開始してからも、ずっと心に引っかかっていたのは“寝たきりの患者”の多さと関節拘縮患者の多さであった。初めのころは単純にPT・OTの数が少なく、リハビリテーションのトレーニングの時間がないため仕方がないのだろうと思っていた。しかし、厚生労働省の施策の効果でPT・OTが増加し、最近では病院や施設で働く数も多くなっているにもかかわらず、寝たきり患者も関節拘縮も、過去とそう変わらず、褥瘡も減らず、介護施設では無気力のまま車椅子の上で口を開けて過ごしでいる高齢者が多い状態が続いている。
 ところが、スウェーデンやオーストラリアでは寝たきり患者も関節拘縮もほとんどみないという話を学会で聞いた。私は耳を疑った。
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 この文章が本の最初に載っています。
 老人病院とか…
 療養病棟とか…
 自分だったら…
 こんな状態で生きていたくないなぁ~
 …という患者さんをたくさん見ました。
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 私の両親は85歳と83歳の高齢者ですが、
 ころりといかせてくれ
 …と言われます。
 いくら親の頼みでも、
 苦労して取得した、
 医師免許を無くすようなことはできません。
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 この本には、
 今までの老人医療の問題点が書かれています。
 日本でも、
 すぐれたケアーを実施しているグループが紹介されています。
 厚生労働大臣にも読んでいただき、
 国の政策に反映して欲しいです。
 あらためて大浦武彦先生の素晴らしさを知りました。

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