院長の休日
第2回KYOTO KAKIMOTO恋文大賞
今朝の朝日新聞に、
【全面広告】として掲載されていました。
久しぶりに…
素晴らしい広告を見ました。
京都の柿本商事という…
紙の会社で
1845年創立の老舗です。
紙を超え、京都から世界へ
柿本商事株式会社と書かれていました。
■ ■
作品の紹介です。
【手紙(文章)部門 一般の部 大賞】
「決意の日」父さんへ_角谷千飛路(北海道札幌市)
「父さん、恥ずかしいから参親日に来ないで!」
小学校最後の父親参観を拒んだときの、父さんの悲しそうな顔は、
十年経った今でもぼくの脳裏に焼き付いています。
ぼくは塗装職人の父さんを恥ずかしいと思っていました。
ペンキだらけの服に、ガサガサの手、シンナーくさい車。そのすべてが大嫌いでした。
ぼくが風邪をひいても、母さんと二人で現場に出て、
朝早くから夜遅くまで、休みもなく働き続け、おまけに冬は出稼ぎで本州に行く。
ぼくは寂しくて、父さんと母さんの苦労も知らず、自分勝手に反抗していました。
自分のいたらなさを親のせいにして、家出もしました。
あの日、「もう家には帰らねえ!」と睨みつけたぼくに
「ちゃんと飯食ってるのか。風邪ひいてないか」と、父さんは笑顔でした。
殴られると思っていたぼくは拍子抜け。こぶしのやり場に困りました。
父さんがすい臓がんで余命一ヶ月と告知された日も、ぼくは家に帰らず、遊び歩いていました。
父さん、ごめんなさい。
なぜ反抗したのか、自分でも理由がわかりません。
父さん、会いたいです。話したいことがたくさんあります。
孝行したいときに親はなし、と言いますが身に沁みます。
高校の卒業式に、父さんからもらった三行の手紙は、ぼくの宝物です。
「卒業おめでとう。父さんはペンキ屋の仕事に誇りを持っている。
命を懸けている。千ヒロもそんな仕事に巡り合ってほしい。
職業に貴賎なしだよ」
父さん、ありがとう。
ぼくは薬剤師を目指して薬科大学に行きましたが、どうしても父さんの跡を継ぎたくて、
大学をやめる決意をしました。
父さんが死んでからは、母さんの仕事も激減し、抜け殼のようになっています。
今日は父さんの命日です。
ぼくの決意が正しいかどうかはわかりませんが、明日から母さんと一緒に現場に出ます。
父さんの分まで、母さんに孝行するつもりです。
父の志を 受け継ぐ心 実直に
■ ■
職業に貴賎なしだよという…
千飛路くんのお父さんの言葉が好きです。
私が言うのも変ですが…
医師にも…
弁護士にも…
悪い人がいます。
ペンキだらけの服に、
ガサガサの手は、
塗装職人の勲章です。
■ ■
私は子どもの授業参観に…
ほとんど行ってません。
もっぱら家内の役目でした。
塗装の仕事も大変だと思います。
これからの札幌は寒いです。
寒空の下でも、
息子さんといっしょなら、
お母さんもあたたかいと思います。
■ ■
札幌の角谷千飛路くんに、
お父さん以上の…
立派な塗装職人になって欲しいです。
お母さんを助けて、
誇りを持って仕事をしてください。
職業に貴賎なし。
自分の仕事に命を懸けることができて…
誇りが持てるのは、
素晴らしいことです。