医学講座
下眼瞼変形の原因④(注入物)
下まぶたの変形シリーズ4です。
どんなに上手な形成外科医でも…
治療に難儀するのが…
注入物による変形です。
注入異物の研究では、
日本医大形成外科が有名です。
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私が北大形成外科でコラーゲンの担当をした30年前から、
下まぶたに注入が行われていました。
もっと昔から…
さまざまな治療が繰り返されてきました。
下まぶたのシワは…
昔から女性の悩みの種です。
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若い先生はご存知ないでしょうが…
さまざまな異物が注入された歴史があります。
オイル状のシリコンや…
パラフィンなどという…
絶対に注射してはいけないものを…
素人が注射したこともあります。
高須先生が苦労して治療なさった扇風機おばさんも有名です。
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私は…
下まぶたには…
ボトックス以外の注射はしていません。
後遺障害が怖いからです。
慣れない先生が注射をして…
コラーゲンでも凹凸になった人がいました。
コラーゲンのいいところは、
吸収されると戻るところでした。
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吸収されない注入剤が出て、
しこりが残って困る人が出てきました。
アクアミド、
ダーマライブ、
いろいろな材料が輸入されていました。
現在はヒアルロン酸が主流です。
若い女性がよく涙袋を作っています。
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ヒアルロン酸は吸収されると言われてきました。
私は吸収されないと思います。
コラーゲンとはまったく違った変化をします。
長く残っています。
一番問題なのは、
いろいろなクリニックで、
いろいろなものを注入された患者さんです。
ご自身でもいつ何を入れたか覚えていません。
偽名で受診する人もいます。
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私が一番危惧するのは、
フィブラストスプレーの注射です。
さまざまな名前で呼ばれています。
自分の血小板を注射したつもりが…
フィブラストスプレーが入っていることもあります。
劇的な変化が長く続くのが怖いです。
副作用が出ても長く続きます。
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問題なのは…
ヒアルロン酸注射を受けた人に、
フィブラストスプレー入りの注射をすることです。
患者さん本人が、
ヒアルロン酸のことを言わなかったり、
忘れていることもあります。
残っているヒアルロン酸に、
フィブラストスプレーが入ると、
通常よりもずっと長く作用時間が延びることがあります。
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ドラッグデリバリーシステム(DDS)という研究があります。
ある種の薬剤と、
ヒアルロン酸を混ぜることにより、
通常よりも作用時間を延長させる効果です。
ヒアルロン酸注射を受けた人に、
フィブラストスプレーを注射すると、
しこりになったり腫れが出ることが…
業界の裏話しとして語られています。
どんなに優秀な形成外科医でも、
神の手の美容外科医でも、
フィブラストスプレーの副作用を治すのは難しいです。
くれぐれも注意なさってください。