医学講座
第40回日本熱傷学会(さいたま)②
熱傷(ねっしょう)は熱による皮膚や組織の損傷です。
やけどと入力して変換すると、
火傷になります。
火という字には、
火炎のニュアンスがあるので、
やけどの学会は、
日本熱傷学会です。
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やけどはだれでも
一生に何回か経験する痛い外傷です。
小範囲のやけどや、
浅いやけどは、
病院に行かなくても治ります。
専門家が治すと…
痛みが少なくなります。
傷あとも目立たなくできます。
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北大形成外科は私の恩師である大浦武彦先生が熱傷の専門家だったので、特に熱傷に力を入れていました。
理由の一つは、北海道に炭鉱が多かったことです。私が中学校3年間を過ごした、北海道夕張市は代表的な炭鉱都市でした。私の中学時代に、父親が勤務していた三菱大夕張炭鉱で大規模な炭鉱事故がありました。炭鉱は燃料になる石炭を掘り出す鉱山なので、事故が起こると石炭に火がついて火災になります。
狭い坑道に炭塵(タンジン)という石炭の粉が充満しています。事故で坑内火災が起きるとそれに火がつきます。一度にたくさんの人がヤケドをします。特に、気道熱傷という、高温の煙を吸い込むことによる、のどから肺にかけてのヤケドで命を奪われます。もちろん、顔も手も体も重症のヤケドになります。
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熱傷治療は大変です。
広範囲の重症熱傷は生死にかかわります。
今回の第40回日本熱傷学会では、
2013年8月15日に兵庫県福知山市で起きた、
花火大会の重症熱傷について報告がありました。
大変な事故でした。
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熱傷はいつどこで受傷するかわかりません。
1980年におきた新宿西口バス放火事件を契機に、
東京女子医大形成外科に熱傷ユニットができました。
東京女子医大形成外科は、
日本でトップの熱傷治療施設です。
たくさんの優秀な熱傷専門医を育てました。
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3Kとも4Kとも言われる熱傷治療の現場で、
若い先生をいかに育てるか?が大きな課題です。
東京女子医大形成外科では、
第35回日本熱傷学会①でご紹介した、
キャセイ産業㈱代表取締役
大島修治様が手術を受けました。
大島様は、
1996年7月会社に押し入った暴漢に、
ガソリンを頭からかけられて
火をつけられました。
全身の60%のⅢ度熱傷。
医師からは、
命の保証はできないと告げられたそうです。
5度の危篤状態と
十数回の移植手術を乗り越えて、
不屈の精神で再起されました。
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命は助かったものの…
首はやけどの傷のために動かず…
【瘢痕拘縮(はんこんこうしゅく)といいます】
右手は指が焼けてなくなってしまい、
ものをつかむことすらできなかったそうです。
九州から…
東京女子医大形成外科の
野﨑幹弘教授を紹介していただきました。
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第35回日本熱傷学会長の故佐々木健司先生、
日本大学形成外科教授の仲沢弘明先生、
女子医大形成外科教授の櫻井裕之先生、
素晴らしい
東京女子医大形成外科スタッフの手術で、
見事に顔貌と手の再建が成功しました。
ご自身の辛い体験を…
著書/「人生逃げたらあかん」で紹介され、
多くの人を勇気づけていらっしゃいます。
熱傷治療はなくてはならない学問と治療です。
一人でも多くの若い先生に参加してほしいです。