医学講座
公立病院の自由診療
私は長い間公立病院に勤務しました。
釧路労災病院、
市立札幌病院、
JA帯広厚生病院、
今はどうかわかりませんが、
私が勤務した時代には公立病院で自由診療はできませんでした。
自由ではありませんでした。
■ ■
保険外の料金は公立病院にもあります。
診断書料金とか、
個室の差額料金です。
主任部長でも、
院長でも、
勝手に料金を決めることはできません。
■ ■
都道府県や市町村が経営する病院は、
議会の承認を得て、
料金徴収条例を改正する必要がありました。
大きな病院の院長先生は、
議会に出て答弁をします。
議会答弁が好きな院長は、
私が知る限りいませんでした。
美容整形の料金条例を決めた議会は、
私は知りません。
■ ■
ある病院に勤務していた時、
若い女性が診察室にいらっしゃいました。
私:今日はどうなさいましたか?
患者さん:………
私:どこか痛いですか?
患者さん:………
私:どこですか?
患者さん:あのぅ……
■ ■
消えそうな声で、
恥ずかしそうに、
患者さんが訴えられたのは、
おへそでした。
ちょっと出っ張っていました。
よくよくお聞きすると、
小さい時からずっとコンプレックスだったそうです。
■ ■
幼稚園でも、
小学校でも、
中学校でも、
高校でも、
とにかく身体検査は大嫌い。
女子に見られるのもイヤでした。
■ ■
おへそが見える水着なんんて、
絶対に着れませんでした。
本人には何の責任がないのに、
ちょっとだけおへその形が違う人がいます。
これは美容目的だから保険外です。
心ある形成外科の先生だったら、
おへその相談にそんなことは言いません。
私は自分自身がでべそでした。
その患者さんは、もちろん保険診療で手術をしました。
とても喜んでいただいた記憶があります。
今でも同じ気持ちで手術をしています。