医学講座

会陰切開のきず①

 分娩時に会陰部(えいんぶ)が裂けてしまい、
 重度の時には肛門まで裂けることがあります。
 これを避けるために、
 赤ちゃんが産まれる時に、
 ちょっと切開をします。
 これを会陰切開(えいんせっかい)といいます。
 会陰切開をしない出産もあります。
 うちの奥さんは2回の分娩で、
 2回とも切開を受けました。
      ■         ■
 会陰部を切開しても、
 後遺障害はありません。
 それよりも…
 分娩時に肛門まで裂けてしまうと、
 修復する手術が大変です。
 健康保険には、
 K851会陰形成手術という手術があります。
      ■         ■
 K851_会陰形成手術
 1_筋層に及ばないもの_2,330点
 2_筋層に及ぶもの_5,760点
 私は産科の医師ではありませんが、
 会陰裂傷になるより、
 会陰切開を受けるのがずっと安全だと考えます。
 会陰切開を受けても、
 きずの治りは良いからです。
      ■         ■
 うちの奥さんが、
 2人目の子どもを産んだ時、
 私は北大形成外科でチーフレジデントをしていました。
 31歳でした。
 人生で一番忙しかった時期でした。
 奥さんには申し訳ありませんが、
 私は出産には立ち会えず、
 子どもの顔を見たのも、
 夜になってからでした。
      ■         ■
 産院選び
 …という2008年2月3日の院長日記に書きました。
 準夜勤務の看護婦さんに、
 今日、生まれた子供の父ですと言って、詰所を訪ねました。
 もう、夜も遅かったので、
 当然、子どもには会えないだろうと思っていました。
 不憫(ふびん)に思ってくれたのでしょう、
 優しい看護婦さんが、
 新生児室のベビーコットで眠っていた長男を、
 ガラスのところまで連れてきてくれました。

      ■         ■
 消灯時間を過ぎていたので、
 もちろん奥さんには会えませんでした。
 私は罪滅ぼしのため、
 奥さんの好きな葡萄を買って、
 2歳の娘とせっせと届けました。
 そのためか?
 うちの子供たちは、
 葡萄好きです。
      ■         ■
 退院後しばらくしてから、
 奥さんが、
 会陰切開をした部位が痛い
 前(初産)と違う
 …と言ってきました。
 私が診たところ、
 会陰切開をした部位のきずが、
 ちょっと開いていました。
      ■         ■
 :あ、きずが開いている。軟膏をぬると治るょ。
 それを聞いて、
 奥さんがめちゃくちゃ怒り出しました
 先生が縫う時、
 他の人とごはんを食べに行こう
 …と話しながら縫った。
 絶対、先生がいい加減に縫ったからだ!(×3乗)

      ■         ■
 :そんなことないょ。
 産婦人科の先生だから縫い方はこんなもんだょ。
 たまたま開いただけで、
 ちゃんと治るょ。

 奥さんのきずは、
 軟膏治療で治りました。
 ただ、
 ごはんを食べに行こう
 …にはいまだにご立腹です
      ■         ■
 私もそれ以来、
 手術中に余計なことは話さないようにしています。
 きずが開いたのと、
 手術中の会話は関係ありませんが、
 会陰切開のきずで困っている人も、
 たまにいらっしゃるようです。
 続きは明日以降に書きます。

“会陰切開のきず①”へのコメントを見る

TEL 011-231-6666ご相談ご予約このページのトップへ