医学講座

会陰切開のきず②

 うちの奥さんは、
 会陰切開のきずが開きました
 原因は、
 縫合する時に、
 糸のかけかたが悪く、
 皮膚が少しめり込んでしまって、
 創縁がしっかり合わなかったためです。
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 産婦人科の先生も、
 妊婦さんのだんなが、
 形成外科医だと気付かなかったのかも?です。
 (私はその先生と同じ病院で働いたことがあります)
 (悪い先生ではありませんが…)
 (ごはん食べに行こうと言いそうな先生です)
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 今は便利な時代です。
 会陰切開(えいんせっかい)を検索すると、
 会陰切開 抜糸
 会陰切開 溶ける糸
 会陰切開しない
 会陰切開 抜糸 痛み

 …と次々と出てきます。
 それだけ困っている方が多いようです。
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 これだけネットが発達しても、
 形成外科医が、
 会陰切開のことを書いているサイトは見あたりません。
 きずを治すプロとして、
 会陰切開についてご説明いたします。
 まず縫合法です。
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 私たち形成外科医が皮膚を縫う時は、
 真皮縫合(しんぴほうごう)というのを必ずします。
 顔の傷を縫う時、
 真皮縫合をして皮膚をしっかりくっつけてから、
 皮膚表面をナイロン糸で縫合します。
 顔ですと、
 7-0(ななぜろ)という髪の毛くらいの太さの、
 黒い糸で縫うのがふつうです。
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 ところが、
 お産のあとは状況が違います。
 赤ちゃんを娩出した後も、
 出血が続きます。
 産婦人科の先生は、
 すばやく切開部を縫う必要があります。
 太めの糸で、
 しっかり縫います。
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 創縁がぴったりくっつくことが条件なので、
 マットレス縫合という縫い方をする先生もいます。
 そうすると、
 うちの奥さんのように、
 皮膚がめり込んで、
 傷が開くことはなくなります。
 会陰切開の傷は、
 顔の傷のように、
 細かくたくさん縫うことはしません。
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 問題なのは、
 糸をしばる時です。
 専門的には、
 結紮(けっさつ)といいます。
 上手な先生は、
 適切な強さで、
 きつくなく
 ゆるくなく縫います。
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 強すぎて、
 糸が食い込んでいると、
 いつまでたっても痛い原因になります。
 産婦さんもいろいろです。
 お産が楽な人も、
 大騒ぎになる人もいます。
 大騒ぎの人に、
 一刻も早く縫ってあげようと、
 ちょっときつくなることもあります。
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 産後2週間くらいしても、
 患部がとても痛い人は、
 先生に診ていただくことをおすすめします。
 私たちが小陰唇縮小の手術をしても、
 痛いのはせいぜい数日です。
 ナイロン糸で丁寧に縫っていると、
 痛みが一週間も続くことは、
 まずありません。
 お産のあととは条件が違いますが、
 食い込んだ糸が原因で痛いことがあります。

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