医学講座
会陰切開のきず④
これから赤ちゃんを産む女性、
一人目を産んだけど、
会陰切開の傷が痛かった女性、
不安なことが多いと思います。
今日は、
会陰切開をしない選択は?
…という疑問についての解説です。
■ ■
切って縫ったら痛いから
切らないほうがいいんじゃないの?
私は会陰切開をしない産院を選ぶ!
…ごもっともな疑問です。
切らなくてもいいなら、
切らないのがいいです。
■ ■
産科医も、
すべての産婦さんを切るのではないと思います。
問題なのは、
切るべきか?
切らざるべきか?
ぎりぎりのケースです。
私なら、
ぎりぎりのケースは、
迷わず切ります。
■ ■
理由は、
切らないで裂けてしまった場合
修復するのが大変で
後遺障害が残ることがあるからです。
特に筋層まで裂けてしまって、
治りが悪かった方は大変です。
■ ■
昨日の院長日記も書いたように、
高価な服が釘に釣り針がひっかかったとします。
無理に引っぱると、
かぎざきになります。
ぎざきざにさけた繊維を、
元に戻すのは至難のわざです。
どうしても釣り針が抜けなければ、
釣り針の部分だけをちょっと切ると、
小さな穴で終わります。
■ ■
小さな穴は、
上手に修復するとわからなくなります。
形成外科医として言わせてもらうと、
会陰切開なんてこわくありません。
私は会陰切開推進派です。
分娩損傷で、
筋肉まで裂けてしまう方が、
よっぽど危険です。
■ ■
以前相談を受けた患者さんです。
分娩時に裂けてしまいました。
お産をした産婦人科では、
これ以上治せないと言われました。
困っています。
お風呂に入ったら、
お湯が入ってきます。
上がってすぐに下着をつけると、
水浸しになってしまいます。
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こんなお気の毒な女性もいらっしゃいます。
裂ける方向が悪いとか、
裂けた程度が重いとか、
状態によって違います。
切らなければやばい時は、
切ってもらいましょう。
切った傷を上手に縫うとちゃんと治ります。