医療問題
札医大教授を懲戒解雇
平成27年5月27日、北海道新聞朝刊の記事です。
札医大教授を懲戒解雇
大学側「無許可で兼業」
札幌医科大学(島本和明学長)は5月26日、兼業の許可を得ずに他の医療機関で診療を行って報酬を得ていたなどとして、50代の医学部教授を懲戒解雇し、監督責任者である医学部長と、付属病院院長を文書による訓告処分にしたと発表した。この教授は大学側が設置した調査委員会の呼び出しにも応じなかったという。
札幌医大によると、教授は道内の複数の医療機関に出向いて診療を続けてきたが、一部医療機関については大学の許可を得ていなかった。また、兼業の許可を取っていた他の医療機関についても、診療回数や報酬額を過少報告していた。
学会などの出張期間中に他の医療機関での診療を行い、本来は受領できない出張旅費を大学から受け取っていたケースもあった。
札幌医大は、昨年末に学内外からこの教授の兼業規程違反に関する情報が寄せられ、1月に弁護士などからなる調査委員会を設置。同大に書類が残る2008年4月以降を対象に、兼業先の医療機関に問い合わせ、過去にこの教授が提出した兼業届や兼業実績報告書を調べていた。同大事務局は「解雇無効などの訴訟になる可能性があるので、具体的な中身は公表できない」としている。
札幌医大の島本学長は「信頼を裏切り、心からおわびする。再発防止に向けてより一層、倫理の向上を図る」とのコメントを発表した。
(以上、北海道新聞より引用)
■ ■
残念な報道です。
私はこの医学部教授のことを存知ません。
かつて札幌医大を追い出された者として、
ちょっと考えることがあります。
兼業けんぎょうです。
日本の医学部教授で、
この兼業けんぎょうをしていない先生はいないと確信します。
■ ■
ふつうの人は、
お医者さんはお金持ち
医学部教授はお金持ち
…だと思っています。
そんなことはありません。
札幌医大医学部の教授が、
大学からいただくお給料は、
高校の先生よりちょっと高いくらいです。
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公務員なので、
俸給表ほうきゅうひょうというのを見ると、
教授の年収がわかります。
私が札幌医大講師だった時は、
深夜まで手術をしても、
朝まで手術をしても、
時間外手当はゼロでした。
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札幌医大教授のお給料は、
教育職俸給表で決められます。
教育職は同じ医師職なのに、
道立病院の医師などの
医療職俸給表より安いのです。
はっきり言って、
重労働でストレスも多いのに、
お給料が安いです。
その安いお給料をカバーしてくれるのが、
兼業けんぎょうというアルバイトです。
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札幌医大の教授は、
本来、地方公務員なのでアルバイトは禁止です。
兼業けんぎょうが許可されるのは、
医師不足の地域の医療支援とか、
難しい手術の指導とか、
そんな状況に限られているはずです。
でも実際には、
兼業けんぎょう無しには、
生活は成り立たず、
学会にも参加できません。
元札幌医大講師の私としては、
もう少し大学病院勤務の医師給与が改善されることを望みます。