医学講座
ヒアルロン酸は吸収されない?
私がはじめて【美容】の世界を見たのは、
日航ジャンボ機が墜落した、
1985年でした。
今から32年前です。
ヒアルロン酸は100%安全か?
2015年8月15日の院長日記です。
米国のベンチャー企業が作った、
ザイダームという牛コラーゲン注入剤の臨床試験を担当しました。
■ ■
米国で製品化された商品を、
日本に輸入して販売するための臨床試験です。
臨床試験の責任者が、
北大形成外科の大浦武彦先生でした。
北大形成外科、
東大形成外科、
京大形成外科、
…という国立大学の形成外科が担当しました。
■ ■
米国では美容目的に使われていたコラーゲン注入剤ですが、
当時の厚生省は美容目的に使うことを禁止して認可しました。
実際には美容目的で多く使われていました。
この牛コラーゲンは、
アレルギー反応が問題でした。
うちの奥さんに皮内テストをして、
注射した部位が、
蚊に刺されたように赤くなりました。
たいそうお怒りでした。
■ ■
うちの奥さんが赤く腫れたので、
それ以降は、
目立たない部位(上腕内側など)で皮内テストをしました。
アレルギー反応以外には、
大きな問題がなかったザイダームでしたが、
ザイプラスとという製品が出てから、
眉間のシワに注射して、
皮膚が壊死になる例が報告されました。
血管内にコラーゲン注入剤が入るためです。
■ ■
時代は変わって、
コラーゲンからヒアルロン酸になりました。
札幌美容形成外科を開業した頃は、
コラーゲンもヒアルロン酸も使っていましたが、
今はコラーゲンは使っていません。
札幌美容形成外科のHPにも、
ヒアルロン酸は効果が約6ヵ月から1年です。
吸収され自然に元に戻るので安全だとお考え下さい。
…と書きましたが間違っているようです。
■ ■
エビデンスがない本間仮説です、
長年通院してくださっている患者さんを見ると、
コラーゲンからヒアルロン酸にしたことにより、
明らかに注射の回数が減っているのです。
中には吸収されやすいヒアルロン酸もあるようですが、
私の感触では、
ヒアルロン酸は吸収されにくく、
効果が減るのは、
周囲組織へ拡がるためだと思います。
■ ■
近年は、
ヒアルロン酸をより深い層に注射する方法が流行りました。
その結果として、
顔が丸くなる、
【ヒアルロン酸顔貌】
…と呼ばれる患者さんがいらっしゃいます。
いろいろなクリニックで、
ヒアルロン酸は吸収されるから
【安全】
…と注射を受けた方たちです。
札幌美容形成外科のHPも次回の更新時に書き換えます。
ヒアルロン酸は吸収されません