医学講座
カプノサイトファーガ感染症
今日は2021年2月3日(水)です。
札幌はとても寒いです。
休診日だったので、
私は一日家にいました。
外の気温は-10℃でした。
最高気温が-8℃でした。
札幌市民でもびっくりする寒さです。
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昨日の院長日記、
ペットにかまれないようにの続きです。
私が一番驚いたのが、
Capnocytophaga感染症によって四肢切断を余儀なくされたイヌ咬傷の1例
広島大学形成外科、横田和典教授の論文です。
Capnocytophaga感染症
カプノサイトファーガ感染症
…という言葉もはじめて聞きました。
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厚生労働省HPに解説がありました。
イヌ・ネコの口腔内に常在している3種の細菌、
カプノサイトファーガ・カニモルサス(C. canimorsus) 、カプノサイトファーガ・カニス(C. canis)及びカプノサイトファーガ・サイノデグミ(C. cynodegmi)を原因とする感染症です。
この病気は、イヌやネコに咬まれたり、ひっ掻かれたりすることで感染します。
なお、動物による咬傷に対し、報告されている患者数は非常に少ないことから、
診断に至らなかった患者がいるとしても、
本病は感染しても稀にしか発症しないと考えられます。
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主にイヌやネコによる咬傷・掻傷から感染しますが、
傷口をなめられて感染した例も報告されています。
…と書いてあります。
犬に傷口をぺろぺろされて、
重篤な感染症になることがあるようです。
【厳重注意】です。
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ほとんどのイヌやネコが口腔内に保菌していることから、
ペットとして飼育しているイヌ・ネコからの感染も数多く報告されています。
また、健康な方でも、持病(糖尿病、高血圧、免疫抑制剤の使用、脾臓摘出など)を持っている方と
同程度の患者数が報告されています。
したがって、日頃から動物とは節度を持ってふれあうことが重要です。
そんなことを言われても、
ペットとはいつも濃厚接触です。
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日本においては、
1993年から2017年末までに計93例(うち死亡19例)が確認されています。
患者の年齢は、
40歳代以上の中高年齢者が95%超を占めており、
平均年齢は約64歳です。
性別は男性が68例、
女性が25例です。
私もうちの奥さんもやばいです。
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大切なのは、
こんな感染症があるということを、
ちょっと頭のすみに入れておくことです。
PCR法で検査できるそうです。
治療法は、
早期に抗菌薬等による治療を開始することです。
ペニシリン系、
テトラサイクリン系
第3世代セフェム系抗菌薬が効きます。
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私は40年形成外科医をしています。
はじめて聞く感染症です。
臨床医にとっては、
診断が難しい病気です。
グラム染色等による直接鏡検によって、
細長いグラム陰性桿菌を見つけることです。
ペットと濃厚接触をするなと言われても難しいので、
こんな病気があることを知っていただきたいです。