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手のぬくもり

 幼稚園で、はじめて異性と手をつないでお遊戯をする。もう忘れてしまった記憶ですが、誰にでもある想い出です。
 今の時代には、『おじさん何言ってんの!』と笑われそうです。
 手をつなぐ、手を握るという行為は、心の温かみまで伝えてくれます。
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 私たちの手は、さまざまな作業をするため、実に精密に作られています。
 目以外に字が読めるのは手だけです。
 ホッペに点字を当てても読めません。
 指先には神経のセンサーがたくさんついているので、細かな違いも読み取れるのです。
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 手が温かいのは、血流があるからです。手には細かな血管網が密にめぐっています。
 手は細かい動作をするために、何本もの腱というスジがあります。前腕にある筋肉が収縮して、手の腱を引っ張るので、重いものも持てます。
 手にも筋肉があります。筋肉が収縮するためにはエネルギーが必要なので、血管が発達しています。だから手は温かいのです。
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 手当て(テアテ)という言葉があります。手当てをできるのは、お医者さんだけではありません。
 おなかが痛い時に、そっと手を当ててください。誰かの手を当ててもらうのもよいです。
 手のぬくもりが伝わり、痛みが和らぎます。
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 はじめての手術で、ガチガチに緊張している人がいます。
 緊張すると交感神経が働き、手足の血管を収縮させます。すると手足はスーっと冷たくなります。
 他の人の温かい手で、冷たい手を握ってもらうと、温かさが伝わり緊張もほぐれます。
 手を握るだけで、『がんばってください!』という声援が伝わります。手を握ってもらっていると安心感があります。
 人の手は、どんなに優れた鎮静剤や麻酔薬より効果的です。副作用もありません。
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 手術をするのも手。よいことをするのも手。悪いことをするのも手です。
 神の手、巧の手(タクミノテ)、ゴットハンド。
 手を組む。手を結ぶ。手を取り合う。
 悪に手を染める。麻薬に手を出す。手くせが悪い。
 あの手、この手など手に関する言葉もたくさんあります。
 手の握りかた一つで、気持ちも伝わります。
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 私たちの医業は、人の手がなくてはできない業種です。何をするにも手がかかります。手間隙(テマヒマ)をかけないとよい仕事はできません。
 医療に携わる(タズサワル)人は、自分の手を大切にし、自分の手で他人に喜ばれ、自分の生活を支えなくてはなりません。
 せっかく時間をかけて鍛えた手です。自分が元気な間は、手を動かし、手をかけて、人に喜ばれる仕事をしたいと考えています。
 私を含め、札幌美容形成外科の職員の手は、いつもキレイで温かです。私たちの手のぬくもりが伝わるような仕事をしたいと願っています。

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