昔の記憶

初発症状

 私の左股関節は、整形外科の専門家が診てもわからない位、しっかり治っていました。
 これは、私の歩き方が変で、異常があると早期に発見され、診断をつけ、治療していただいたからです。
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 健康診断で、今までに大きな病気をしたことがありますか?と聞かれます。
 医師になるまでは、子供の時にペルテスをしました。と答えていました。
 ペルテスと言って、すぐにわかる先生はマレでした。
 『ペルテス?』
 『ヘルペスですか?』
 『いいえ、ペルテスです』
 『股関節の病気のペルテスです。幼稚園の時になりました。』
 『……??? はぁ、ペルテスね』
 といった感じで、ペルテスを知らない内科医もたくさんいました。
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 子供の頃の写真を気をつけて見ると、私はよく左足を上げていました。
 両親は、この子は写真を撮る時にポーズをつけて足を上げていると思っていたそうです。
 私にはまったく記憶がありませんが、痛い足をかばうために無意識に足を上げていたのです。
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 整形外科の先生は、私を診察する時に必ず歩かせました。
 向うの壁まで歩いて戻ってきて。
 注射をされないので、整形外科は好きでしたが、先生によっては何回もなんかいも歩かされました。
 子供心に、どうやって歩けば、一発で‘合格’して、何回も歩かされなくて済むのだろう?と思いました。
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 ペルテスに関するホームページがあります。
 50年たった今でも、原因不明で、ペルテスの子の親は戸惑うことが多いようです。
 札幌医大の学生だった時に、一度だけコルセットをつけた子供の親子に、JRで乗り合わせたことがありました。
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 時間があったので、私は『子供さんはペルテスですか?』と伺ったところ、お父さんはとても驚いていらっしゃいました。
・私は、自分も子供の頃にペルテスだったこと。
・今は特に後遺障害もなく普通に生活していること。
・札幌医大の学生であることをお話ししました。
 子供さんは、わからないようでしたが、お父さんはとても喜んでくれました。
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 私は、周囲に医師や医療関係者が多い環境で幼少時を過ごしました。
 私の周囲の‘先生’も、‘ケンちゃん’の歩き方が変なことに気付き、早期発見ができました。
 私は幸運にも、早期発見、早期治療を受けることができ、後遺障害もなく成長できました。
 ペルテスという病名は、北大整形外科でつきましたが、私の周囲は‘小さな変化’を見逃しませんでした。
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 どんな病気でも、早期発見、早期治療が大切です。
 私の両親は、左足を上げる子供を‘ポーズをつける’と思ったようでした。
 私の親が普通のサラリーマンで、周囲に医療関係者がいなければ、‘病気’の発見は遅れたと思います。
 子供のちょっとした変化を目ざとく見つけ、しっかり治療してくれた親と‘先生’に感謝しています。

1959年11月1日(手稲にて)
私と母と弟です。左足を上げています。
入院2日前です

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