医療問題
救急コンビニ化
平成19年12月18日、北海道新聞朝刊の記事です。
明日の医療は
軽症患者が夜、気軽に…医師疲弊
道内救急コンビニ化
帯広厚生病院ルポ
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緊急性が低い病気やけがで夜間や休日に医療機関を受診する患者が増えている。
本来は重篤な患者を受け入れるはずの道内十ヵ所の救命救急センターにも軽症患者が押し寄せ、医療スタッフは夜通し対応に追われている。
24時間、365日診察してくれるという患者の利便性や安心感の裏で、救急の「コンビニ化」に苦悩する道内の医療現場を見た。
(報道本部 渡辺玲男)
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午後十時、十勝管内唯一の救命救急センター「帯広厚生病院」(帯広市)。
救急車のサイレンとともに、転落事故で全身を打った男性が担ぎ込まれた。
車にひかれた女性、高熱でぐったりした乳児…。6つある救急ベッドはすでに4つが埋まっていた。
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精密検査や入院手続きに追われ、医師らは一息つく間もない。
さらに待合室では4人の患者が待っていた。3つの救急電話もひっきりなしに鳴る。
「相当待つことになると思いますが…」。緊急性が低そうな患者に看護師がやんわりと日中の受診を勧めるが、「すぐ診てほしい」という患者を断ることはない。
午前零時すぎに一段落した後も断続的に患者は訪れ、午前5時半まで診療は続いた。
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意識が変化
命の危険がある高度な救急医療に24時間対応できる救急センター。
同病院の昨年度の救急患者は約一万四千人で、開設した1999年度の1.5倍に増えた。
ただ、心肺停止などの重症患者は4%の約600人。
76%は入院の必要がないと診断された軽症で、小児科患者が四分の一を占める。
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「夜間に気軽に受診する救急のコンビ二化は全道的な傾向。
医師が疲弊してやめてしまい、医師不足のー因になっている」。
北海道医師会の目黒順一常任理事は指摘する。
受診者増加の背景には高齢者や共働きの増加のほか、夜でも病院に行くことをいとわない受診者側の意識変化もあるとみられる。
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人手足りず 医師が100人以上いる同病院だが、夜間救急は毎晩常駐する小児科医一人を含め実質5人の当直医と3人の看護師が担う。
6人しかいない小児科は、若い医師だと多い月は7、8回夜勤。夜に一睡もできなくても、翌日は通常勤務だ。
日中に比べ人手が少ない夜間は検査も時聞かかかる。
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「重症だと処置に数時間かかる人もいるが、患者が多く、かかりきりになれない」と当直医。
軽症でも緊急性がないとは限らないが「夜の方が待たないから」「あす旅行に行くので、いま診てくれ」といった理由で深夜に来る患者もいる。
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格差に悩む
「共働きで日中は来られない。時間外診療を充実してほしい」と熱が出た5歳の子供の受診に訪れた主婦(35)。
しかし、医師不足の現状では容易ではない。
「日中のような診療を期待されても難しい」。
一瀬広道副院長(57)は患者ニーズと現場実態の格差に悩む。
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道医師会は軽い症状の場合は、日中に受診するよう促す冊子を2万部作り、9月から病院窓口などで配布している。
ただ「患者に万が一のことがあっては…」と、受診抑制には戸惑う医療関係者も少なくない。
患者が運び込まれカーテンで仕切られた帯広厚生病院の救命救急センターの処置室。
医師や看護師が走り回る=午後10時30分。
(以上、北海道新聞より引用)
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私は平成7年1月から平成10年3月まで、3年3ヵ月間、JA帯広厚生病院の形成外科主任部長を務めました。
現在は、病床数748床、従業員数1,009名の十勝管内で一番大きな総合病院です。
形成外科を見ても、私が在籍していた10年前より、患者数も手術件数も増加しています。
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帯広厚生病院へは、北大、札幌医大などから優秀な先生が赴任しています。
臨床研修指定病院としても、人気が高い病院で、若い先生からも人気があります。
私が在籍していた時に、救命救急センター構想がありました。
私も、現在使用されている救命救急センターの設計に加わりました。
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私が勤務していた当時から、どの診療科もとても混んでいました。
2時間待ちの3分診療なんて…よく非難されました。
外来は、一応‘予約制’でしたが、予約しても2時間待ちなんてことがザラにありました。
その理由は、再来と新患を2人で診なければならなかったからです。
少しでも症状が重く、説明や処置にかかる時間が長くなると、たちまち‘遅れ’が出ていました。
飛行機やJRだったら大変なことになります。
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昔から、昼に行くと混んでいるから、夜に行くという人がいました。
確かに、重症ですぐにでも手術や処置が必要なこともありました。
緊急手術も何回もしたことがあります。
お母さんが、遠慮がちに、『いただいた坐薬で熱が下がらなく、ぐったりしてきたので心配で…』と電話をいただいたこともありました。
小児科の先生が、診察し検査したところ、脳に異常があったケースでした。
一概に、救急を受診するなとは言えませんが、コンビニと救命救急センターが違うことは理解していただきたいと思います。