医学講座
ボトックス-未承認薬が9割
平成22年6月17日(木)、朝日新聞朝刊の記事です。
しわ取り注射気をつけて
未承認薬が9割・健康被害例も
医師団体通知
プチ整形で簡単にしわが取れると人気の「ボトックス注射」の9割以上で未承認薬が使われているとして、社団法人・日本美容医療協会が注意を促す通知を医師に流し、患者向けの無料相談に乗り出した。
未承認薬は中国、韓国などから輸入されているが、成分や安全性ははっきりしていない。ボトックス治療による健康被害も国内外で報告されている。(岡崎明子)
ボトックスは、国内では昨年2月、65歳未満の成人で眉間の表情じわをとることを効能とする「ボトックスビスタ」が承認発売され、1瓶4万円台(2~4人分程度)で流通している。しかし、承認以前から個人輸入で使われていた薬が、承認薬の数分の1の価格で流通。承認薬を販売するグラクソ・スミスクラインによると、しわ取り効果をうたう薬剤は年間5万本以上が輸入されており、承認薬のシェアは数%という。
使用薬剤の多くは中国、韓国などからの輸入薬で一部、本国で承認されているが、国内では成分や安全性を審査されていない。
グラクソや同協会は薬剤の流通量から、国内の利用者は10万人以上と推定する。
未承認薬は、緊急性が高い場合や国内に代替品が流通していない場合に限り医師が個人輸入できる。ボトックスは医師の裁量で、美容目的で使われているのが実態という。
使用された薬剤は不明だが、ボトックス治療による健康被害は国内外で報告されている。美容外科の専門医らでつくる日本美容医療協会には 「両眉がつり上がり、目が下にたれた」「呼吸困難が続いている」などの相談が年間約40件寄せられているという。国民生活センターにも「額から鼻の上部まで腫れた」「まぶたが動かなくなった」などの苦情が寄せられているという。
米国では、中国製品を使った患者が呼吸困難を起こすなどの事故が報告されている。承認薬でも副作用はあるが、未承認薬は、薬事法に基づき販売されている承認薬に比べよりリスクがあると、厚生労働省も注意を促している。
同協会理事の大森喜太郎医師は「治寮費が1回数千円など、安さを売りにしている所は未承認薬を使っている可能性が高い。患者は医師に、どの薬を使うのか確認してから治療を受けて」と話している。
無料相談は、同協会のウェブサイト(http://www.jaam.or.jp/)で受け付ける。
◆ボトックス注射
ボツリヌス菌の毒素の粉末を生理食塩水に溶いて注射する。眉間(みけん)に注射すると、表情じわをつくる筋肉の収縮を抑えて3~4ヵ月間、しわが目立たなくなるという。承認薬では認められていないが、医師の裁量で、えらに注射し「小顔にする」、目の下に注射し「目をぱっちり」、わきの下に注射し「汗を抑制]など美容目的で使われている。治療費は1万~10万円超など様々だ。
(以上、朝日新聞より引用)
■ ■
記事を引用させていただいておいて…
朝日新聞には申し訳ありません。
この記事には少し補足が必要です。
ボトックスは日本の厚生労働省が、
美容目的での使用を…
長い間認めなかっただけです。
世界に遅れること…
10年以上です。
■ ■
抗がん剤などの未承認薬は、
保険請求ができません。
どんなに優れた抗がん剤でも…
薬価(やっか)という価格が決まらなければ…
保険で使えません。
お金持ちが…がんになると…
海外で治療を受けるか…
自費で数百万円もかけて治療します。
大腸癌には特効薬もできました。
■ ■
美容医療は、
もともと保険外診療です。
海外から医師個人が持ち込んだり、
個人輸入という形で入手していました。
副作用についても、
2008年1月27日に
ボトックスで死者16人
という院長日記でご紹介しています。
これは米国の正規品での副作用です。
■ ■
よく効く薬は使い方を間違えると…
とんでもない結果になります。
私はある研究会で、
有名大学の皮膚科教授に…
ボトックス注射の極意を伝授しました。
札幌美容形成外科では、
英国製のDysport(ディスポート)
という製品を使用しています。
■ ■
私は中国製や韓国製は使っていません。
中国製には副作用があると聞きますが、
韓国製では聞いたことがありません。
韓国の製品は品質がいいと聞いています。
ボトックスビスタが売れないのは、
価格が高いからです。
価格が高いのは…
日本の承認までにお金がかかるからです。
ここを何とかしなければ…
解決しない問題です。
美容用レーザーは…
ほぼ100%未承認です。
“ボトックス-未承認薬が9割”へのコメント
コメントをどうぞ
そうなんですね。知らなかったです。怖いですね。
先生、中国製はどんな副作用がありますか?
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
私が知っている、中国製ボトックスの副作用は頭痛です。
大きな健康被害は存じません。中国製への信頼という2008年2月1日の院長日記に書いてあります。
ボトックスという薬はほんとに良く目にするようになりましたが、いろいろ問題もあるのですね。薬はほんとに合う、合わないがあり、合わないと呼吸もおかしくなると私自身痛感いたしております。