医学講座
コピペの処方箋
医学部は6年間です。
今は…
その後に臨床研修が2年間あります。
私たちが卒業した30年前は、
卒業してすぐ、
一人前の医師に、
法律上はなれました。
診断書も書けるし、
薬の処方もできます。
■ ■
しかし…
現実には…
診断書を書くにも…
薬の処方をするにも…
先輩が書いたのを丸写しです。
今のことばで言うと…
コピペ。
コピーあんどペーストです。
■ ■
医師免許を取得して…
最初に苦労したのが…
薬の名前です。
薬の名前と医療事故
…という2008年2月19日の院長日記に書きました。
一般に薬屋さんで売っている薬。
病院で使う薬。
これらの名前は、すべて‘商品名’です。
同じ中味の薬でも、
売っている会社によって違います。
■ ■
ガスターという胃潰瘍の薬があります。
大学で教えるのはガスターという名前ではありません。
ファモチジンという、一般名を教えます。
ガスターは、現在のアステラス製薬㈱、
昔の山之内製薬㈱がつけた‘商品名’です。
現在は、後発医薬品を含めて、
たくさんのファモチジン製剤が市販されています。
■ ■
・ガモファー
・ガスイサン
・ガスセプト
・ガスドック
・ガスポート
・ガスメット
・ガモファー
・ファモチジン
・ガスペラジン
これらのすべてが同じ中味の『ガスター』です。
■ ■
今は電子カルテの時代です。
大部分の電子カルテには…
『DO処方(ドゥーしょほう)』という便利な機能があります。
英語のHow do you do?のdoではなく…
ラテン語で「前に同じ」のdittoの略だそうです。
DO機能を使うと…
わけがわからない薬でも…
簡単に処方することができます。
■ ■
名医の処方であれば、
DO処方でも…
コピペでも大丈夫です。
ただ名医にも間違いはあります。
間違った処方や指示を…
何も考えずにコピペしていると…
間違ったまま覚えてしまいます。
とんでもないことになります。
■ ■
新人の間は…
医師も…
看護師も…
薬剤師も…
一つずつ確認して…
コピーする元が正しいか?
この薬の副作用は?
併用禁忌は?(いっしょに飲んではいけない薬は?)
…をしっかり覚えましょう。
間違ったら…
DOボタンを押した人の責任になります。
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今も 37歳で医者になった僕を観ています。 研修医のみなさん、新人看護師さんがんばってください。