医学講座

フィブラストスプレー【査定】

 保険医療機関にとって、
 毎月、 
 月はじめは憂うつな時期です。
 レセプト請求という、
 保険請求業務があります
 毎月5日から10日までの間に、
 前月分を請求します。
 お金がかかっています。
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 このレセプトを基金というところでチェックして、
 翌月の20日過ぎに、
 銀行口座に振り込まれます。
 これが、
 保険医療機関の大きな収入源です。
 請求を間違ったり、
 不適切な請求があると、
 お金をもらえません。
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 大きな病院では、
 毎年の予算を組む時に、
 査定減という、
 赤字を、
 最初から予算に組んでおきます。
 どんなに適正な医療をしても、
 保険者という支払者側が、
 一方的に査定することがあります。
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 興味深いのは、
 健康保険の大元である、
 厚生労働省管轄の病院でも、
 査定されることがあります
 私は平等でいいことだと思います。
 厚生労働省管轄の病院で働くのは、
 私と同じような、
 ふつうの感覚を持った医師です。
 患者さんのためなら、
 査定減を覚悟で治療することもあります。
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 札幌美容形成外科のような民間の医療機関は、
 査定減が増えると、
 倒産の危機です
 せっかく治療したのに、
 保険者から、
 お金をもらえないと、
 赤字になります。
 札幌美容形成外科は査定減が少ないのですが、
 最近、査定減が目立つようになりました。
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 2017年4月に届いた、
 再審査等支払調整額通知票で、
 フィブラストスプレーを査定されました。
 B療養担当規則等に照らし、医学的に過剰・重複と認められるもの
 …がペナルティの理由です。
 査定内容です。
 フィブラストスプレー250 250μg(溶解液付)1瓶 860×1
 これを、
 フィブラストスプレー250 250μg(溶解液付)0.2瓶 187×1
 8600円の請求を1870円に減らされました。
 6730円損をしました
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 私の院長日記は同業の先生にも読んでいただいています。
 患者さんは他院で腹部の手術後に、
 難治性の潰瘍となった方です。
 紹介状持参で来院されました。
 フィブラストスプレーの適応だったので、
 私が患者さんに使い方を説明して、
 患部に噴霧して、
 処置の仕方もご説明いたしました。
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 問題は、
 処置に使ったフィブラストスプレーの量です。
 噴霧して使う薬剤なので、
 一度に一瓶全部は使い切りません。
 保険者は、
 使った分だけしか認めませんでした。
 それが1870円です。
 保険者の言い分もわからなくはないです。
 でもこの薬は高いお薬です。
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 使う前に必ず患者さんに説明しています。
 今までの治療で治らなかったので、
 高いですがいいお薬があります
 お使いになりますか?

 患者さん:お願いします
 そこで、
 私がパッケージを開封して、
 液を調整して、
 実際に処置をしました。
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 高いお薬なので、
 処置に使った残りを、
 患者さんに持って帰っていただきました。
 ご自宅で処置に使っていただき、
 他院で治らなかったキズは、
 ちゃんと治りました。
 ところが、
 札幌美容形成外科は査定を受けました。
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 メーカーの科研製薬に確認したところ、
 フィブラストスプレーを処置に使った場合は、
 一回分しか算定できないそうです。
 ですから、
 私のような場合は、
 たとえ処置に使っても処置薬剤としては算定せず、
 一本処方したことにして
 処方料も算定すると

 査定は受けないそうです。
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 でも、、、
 そうすると、
 厳密には不正請求になります
 私は不正は大嫌いなので、
 そんな請求方法はしません。
 調整方法が難しい、
 高価なお薬は、
 しっかり説明をして、
 しっかり処置の仕方を教えて、
 はじめて薬の効果が得られます。
 製薬メーカーには、
 査定減にならない使い方を、
 ぜひ厚生労働省に認めてもらってほしいです。

科研製薬HPより引用

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