医学講座
開業形成外科医に必要な知識①
私のように、
形成外科を標榜して開業する医師への助言です。
これから開業しようと考えている先生へ、
62歳の形成外科医としての考えを伝えます。
私の独断と偏見に満ちた考えなので、
聞き流してくださって結構です。
自分の経験に基づいて、
できだけ詳しく書きます。
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私はもともと勤務医志向でした。
大学に残って偉くなりたいとか、
開業してお金儲けをしたいとか、
考えてもみませんでした。
結婚する時にも、
家内には言いませんでした。
将来は北海道内の病院に勤務
…がプロポーズの時の言葉です。
■ ■
私が形成外科を選んだのは、
傷をきれいに治したいという理由でした。
医学部の学生時代に、
形成外科に興味を持ってくれる学生さんがいます。
中には、
俺はフェラーリに乗りたいから…
…と美容外科医を目指す人もいます。
でも、
実際にフェラーリを買える美容外科医はほんの一部です。
■ ■
日本形成外科学会のデーターベースがあります。
一番多い形成外科手術は、
皮膚腫瘍の手術です。
私は、
形成外科で開業を目指すなら、
皮膚腫瘍の診断を、
しっかりできるようになることをすすめます。
こわいのが皮膚悪性腫瘍です。
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高価なレーザー機器を買う前に、
ちょっと高価な、
ダーモスコピーを買って、
少なくとも、
脂漏性角化症、
色素性母斑、
基底細胞腫、
悪性黒色腫、
この4つが鑑別できる目を持つことです。
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高価なレーザー機器をリースで入れたので、
せめてリース代だけは、
自費診療で稼ごうなんて、
絶対に考えないことです。
高価なレーザー機器は、
すぐに陳腐化します。
高級車と同じで、
すぐに価値が下がります。
メーカーも次々と新機種を出します。
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形成外科で開業しようと思うなら、
まず皮膚腫瘍の診断と手術が、
皮膚科以上にできないとダメです。
皮膚科の先生から、
皮膚腫瘍の患者さんを紹介してもらえるくらい、
上手に手術ができないとダメです。
高価なレーザー機器を買う前に、
しっかり皮膚腫瘍の手術ができることが、
開業形成外科医に必要な知識と技能です。