医学講座

会陰切開のきず①

 分娩時に会陰部(えいんぶ)が裂けてしまい、
 重度の時には肛門まで裂けることがあります。
 これを避けるために、
 赤ちゃんが産まれる時に、
 ちょっと切開をします。
 これを会陰切開(えいんせっかい)といいます。
 会陰切開をしない出産もあります。
 うちの奥さんは2回の分娩で、
 2回とも切開を受けました。
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 会陰部を切開しても、
 後遺障害はありません。
 それよりも…
 分娩時に肛門まで裂けてしまうと、
 修復する手術が大変です。
 健康保険には、
 K851会陰形成手術という手術があります。
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 K851_会陰形成手術
 1_筋層に及ばないもの_2,330点
 2_筋層に及ぶもの_5,760点
 私は産科の医師ではありませんが、
 会陰裂傷になるより、
 会陰切開を受けるのがずっと安全だと考えます。
 会陰切開を受けても、
 きずの治りは良いからです。
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 うちの奥さんが、
 2人目の子どもを産んだ時、
 私は北大形成外科でチーフレジデントをしていました。
 31歳でした。
 人生で一番忙しかった時期でした。
 奥さんには申し訳ありませんが、
 私は出産には立ち会えず、
 子どもの顔を見たのも、
 夜になってからでした。
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 産院選び
 …という2008年2月3日の院長日記に書きました。
 準夜勤務の看護婦さんに、
 今日、生まれた子供の父ですと言って、詰所を訪ねました。
 もう、夜も遅かったので、
 当然、子どもには会えないだろうと思っていました。
 不憫(ふびん)に思ってくれたのでしょう、
 優しい看護婦さんが、
 新生児室のベビーコットで眠っていた長男を、
 ガラスのところまで連れてきてくれました。

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 消灯時間を過ぎていたので、
 もちろん奥さんには会えませんでした。
 私は罪滅ぼしのため、
 奥さんの好きな葡萄を買って、
 2歳の娘とせっせと届けました。
 そのためか?
 うちの子供たちは、
 葡萄好きです。
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 退院後しばらくしてから、
 奥さんが、
 会陰切開をした部位が痛い
 前(初産)と違う
 …と言ってきました。
 私が診たところ、
 会陰切開をした部位のきずが、
 ちょっと開いていました。
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 :あ、きずが開いている。軟膏をぬると治るょ。
 それを聞いて、
 奥さんがめちゃくちゃ怒り出しました
 先生が縫う時、
 他の人とごはんを食べに行こう
 …と話しながら縫った。
 絶対、先生がいい加減に縫ったからだ!(×3乗)

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 :そんなことないょ。
 産婦人科の先生だから縫い方はこんなもんだょ。
 たまたま開いただけで、
 ちゃんと治るょ。

 奥さんのきずは、
 軟膏治療で治りました。
 ただ、
 ごはんを食べに行こう
 …にはいまだにご立腹です
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 私もそれ以来、
 手術中に余計なことは話さないようにしています。
 きずが開いたのと、
 手術中の会話は関係ありませんが、
 会陰切開のきずで困っている人も、
 たまにいらっしゃるようです。
 続きは明日以降に書きます。

“会陰切開のきず①”へのコメント

  1. なっちゅん より:

    笑わせてもらいました。
    奥様はご立腹されているのですね。
    私も同じ立場なら、そう思うと思います。

    入院時に先生が注射にこられた時、他の患者さんの話をして、ごめんね。と言われました。
    注射を10箇所、肩にする私はビクビクもん。
    先生の配慮にほっこりしました。

    ちなみに私も葡萄大好きです。
    父も無類の葡萄好き。
    二人で1週間、食べ続けてました。
    又買ってくるつもりです。

  2. さくらんぼ より:

    私も二人子供を産みましたが最初から切開しなかったのでお産の後裂けて何針か縫いました。その後も熱が出てみんなより長く入院して検査したらオロが出てなくて 1ヶ月経ってからお腹を押されたら看護師さんがわあ〜と声をあげるほど溜まっていたようです。最近息子たちが医療関係なんで予防注射の事を調べるため母子手帳を懐かしく眺めています。

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