医療問題

乳房除去手術受け死亡

 平成25年2月8日、朝日新聞夕刊の記事です。
 乳房除去手術受け死亡、性同一性障害の個人診療所
 性同一性障害(GID)の人を治療する東京・歌舞伎町の個人診療所で昨年5月、乳房を取り除く手術を受けた女性(21)が死亡していたことが、捜査関係者などへの取材でわかった。新宿区保健所は7月に立ち入り検査し「衛生管理に問題がある」と改善を指導。警視庁は業務上過失致死の疑いがあるとみて、執刀した院長(36)などに事情を聴いている。
 執刀の院長聴取
 診療所はGID治療を専門とし、相場の半額以下の低料金で手術を行っていた。乳房の除去手術や、体を心の性と一致させる性別適合手術は保険が適用されず高額なため、国内に数万人いるとも言われるGIDの人たちの間では、こうした零細な医療機関も一定の受け皿となっている。
 捜査関係者や女性の知人らによると、女性は心と体の性が一致しないことに悩み、診療所に1年半ほど通いホルモン療法を受けていた。昨年5月30日、乳房を除去する手術中に意識不明になり、搬送された別の病院で同日死亡が確認された。
 手術は院長が1人で担当し、看護師はいなかった。医療資格のない院長の父親が「助手」として加わっていた。司法解剖で死因は「不詳」とされた。
 院長は2004年に中国地方の国立大医学部を卒業し医師免許を取得。2009年に開業後、GIDの人に対し主にホルモン注射による治療を行っていた。乳房の除去手術を始めたのは昨年5月で、亡くなった女性への手術は2例目だった。警視庁は、麻酔薬の過剰投与などによって容体が急変した可能性がないかや、その後の処置に問題がなかったかなどを中心に調べている。
 院長は昨年8月、診療所の従業員に暴行を加えたとして警視庁に逮捕され、今年1月、暴力行為等処罰法違反の罪で懲役1年(執行猶予3年)の有罪判決を受けた。昨年10月、保健所に診療所の廃止届が提出されている。
 院長「全力尽くした」
 院長は昨年11月、勾留中の警察施設で朝日新聞記者の面会に応じた。主な一問一答は次の通り。
 -手術費がかなり安かった。
 「無駄な費用をそぎ落としたからだ」
 -死亡時の状況は。
  「手術を終え10分後に容体が急変した。すぐに酸素を注入し心臓マッサージをしたが救急隊が搬送に手間取った。私は医師として全力を尽くした。亡くなったのは搬送先の落ち度だ」
 -手術は何人で。
 「私1人。1人で十分だ」
 亡くなった女性
 「安さに不安、でも本当の体を」
 院長は「キャンペーン」と銘打って25万円という低料金で乳房の除去手術を行っていた。
 厚生労働省によると、2011年の統計でGIDの人は国内に約4千人。これは医療機関で診断を受けた人のみの数字で、GID学会会長の石原理・埼玉医大教授は「実際は数万人いるだろう」と言う。
 日本精神神経学会は1997年、カウンセリングによる精神療法と、体を変えるホルモン療法や乳房の除去手術を施したのち、必要な人に性別適合手術を施すというガイドラインを定めた。国内では現在、ガイドラインに沿って埼玉医大や岡山大などで手術が行われている。
 精神療法から手術まで通常2年程度を要するが、診療所での治療がガイドラインにのっとっていたかは不透明だ。石原教授によると、手術を急ぎたいと希望する人は多い。「手術を受けることを人生の目標にしている人もいる」。料金の安いタイなどで手術を受ける人が多いという。
 国内では大学病院など以外でも手術は行われている。都内のある男性医師は乳房の除去手術を約50万円でしているという。石原教授は「25万円は『バーゲン価格』と言ってもいい」と話す。
 院長は来院者らに、自身もGIDで、男性から女性に性転換したと説明していた。「この人なら自分たちのことをわかってくれると思った」。診療所でカウンセリングを受けたことのある女性(28)は言う。
 亡くなった女性の友人(22)によると、女性は手術前、「安さは不安。でも、本当の体が手に入ったら美容師になる夢に向けて頑張りたい」と話していたという。
 (今村優莉、宮山大樹)
 (以上、朝日新聞より引用)
      ■         ■
 亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。
 残念な事故です。
 河北新報のサイトには、
 湊川クリニックと名前が掲載されていました。
 現在は廃院されているそうです。
      ■         ■
 司法解剖の結果、
 死因は「不詳」なので…
 手術との関連はわかりません。
 一般的なことですが…
 女性→男性への乳房切除は…
 簡単な手術ではありません。
      ■         ■
 手術を安全に行うためには…
 術者の技量や経験が重要です。
 設備も必要です。
 過去に札幌市内であった死亡事故では…
 術者が患者さんの異常に気づいていませんでした。
 気づいた時には心肺停止状態でした。
      ■         ■
 乳房切除手術では…
 的確に止血をして…
 乳房の上の皮膚と脂肪…
 乳腺組織…
 乳腺の下にある筋膜を…
 丁寧にはがす操作が必要です。
      ■         ■
 手術中にはモニターで患者さんの状態をチェックします。
 止血には電気メスを使います。
 どちらの機器も最低100万円はする高価な医療機器です。
 手術を安全に行うには…
 医師の技量も大切ですが…
 設備も必要です。
      ■         ■
 性同一性障害で悩む人は多いのに…
 公立病院などではなかなか対応してくれません。
 私は、
 精神神経科もあるような大きな病院で、
 もっと安全に手術が受けられるようになると良いと思います。
 お気の毒な死を増やしたくないです。
 心からご冥福をお祈りいたします。

“乳房除去手術受け死亡”へのコメント

  1. さくらんぼ より:

    手術を一人でしたなんて信じられません。 麻酔だけでも十分な説明や検査があるはずです。その点 本間先生のクリニックは設備が大学病院みたいだと愚息が申しておりました。
    亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。

  2. なっちゅん より:

    辛いニュースです。
    性同一性障害、親にも受け入れて貰えない人が多いですよね。
    一般からの理解と通常の病院でも医学が進歩しますように…
    亡くなられた方のご冥福を心よりお祈り致します。

  3. しーちゃん より:

    10月に本間先生に眼瞼下垂の手術でお世話になったものです。
    その際に子供さんの結婚式などありませんか?と聞かれ長男は先日結婚したばかり娘は結婚しませんと言ってしまい先生は?他人に話す時は長男に下の子といい娘と言ったのは先生が始めてだったような気がします。次男として生まれた子供も性同一性障害で6年程前に海外で性別適合手術を受け現在は戸籍も次女となりました。遠い外国で手術を受ける子供をとても心配して帰りを待っていたのを覚えています。まだ娘として本当に受け入れられない親ですが子供のほうがもっと苦しい思いをしているのでしょうね。
    亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。

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