医学講座
抜糸しない糸
手術後一週間で抜糸したら、
傷がくっついているのではありません。
さくらんぼさんのコメントのように、
無理な力をかけると、
パカッと破れます。
抜糸しても、
簡単に破れないのは、
抜糸しない糸(真皮縫合:しんぴほうごう)で、
しっかり縫ってあるからです。
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ホチキスみたいな金属なもので縫ってあるのは、
スキンステープラーという商品です。
消化器外科では腸管の吻合にも、
自動吻合器(じどうふんごうき)という
連続ホチキスのような器械を使います。
脳外科で血管を留めるのは、
クリップという金属です。
レントゲン写真を撮ると、
この金属がしっかりと写ります。
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皮膚をスキンステープラーでとめる時も、
キレイに治すには、
真皮縫合をしっかりとします。
何針縫いました?という
2007年4月23日の日記に
詳しく書いてあります。
キズをキレイに治すには、
この抜糸しない糸で、
いかに上手に縫うかが決め手になります。
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山形大学整形外科で縫ったキズが、
キレイなのも真皮縫合のためです。
整形外科では、
手術した後に…
ギプスなどで固定して…
動かないようにすることがあります。
この手術後に動かさないことも、
キズをキレイに治すコツの一つです。
内装工事では、
クロスを貼った後に養生(ようじょう)をします。
糊が乾くまでは触りません。
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人間ではキズの糊(のり)が乾くまで…
3~6ヵ月もかかります。
特に最初の一ヵ月が大切です。
この間は、
キズに力がかからないように…
養生(ようじょう)します。
具体的にはテープで固定したり、
サポーターで圧迫したりします。
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キズの養生(ようじょう)には…
動かさないように安静にするのが一番です。
お腹は柔らかいために…
どうしてもキズが動きます。
そのために目立ちやすいのです。
ガードルなどで圧迫するだけでも、
キズがキレイに治ります。
形成外科でキズをキレイに治すには、
抜糸しない糸や、
術後の安静などの企業秘密があります。