医学講座

糸の種類

 さくらんぼさんから、
 (まゆ)と(かいこ)についての、
 コメントをいただきました。
 手術で使う糸に関しては、
 2008年8月7日の日記
 釣り糸と二重手術という題で書いてあります。
 昔は、
 外科手術に使う糸が、
 絹糸(けんし)でした。
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 抜糸が痛いというのは…
 おそらく絹糸の時代のことです。
 中学校時代に、
 同級生が盲腸(正確には急性虫垂炎)で、
 入院して手術をしました。
 盲腸になったら…
 病院に入院して手術。
 看護婦さんに毛を剃られて…
 恥ずかしかった…
 とか、武勇伝のように話しました。
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 手術は麻酔をして…
 痛くなかったけど…
 抜糸がなまら痛かったべゃ~
 なんて…
 北海道の言葉で話した記憶があります。
 北海道の言葉には、
 よくこのべゃ~が登場します。
 盲腸になったら恥ずかしいし、
 抜糸も痛いので、
 どうしよう…?
 と思ったものです。
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 昔、外科手術に使った絹糸は、
 今よりずっと太い糸でした。
 絹糸は細い糸を撚(よ)って、
 一本の糸にしています。
 絹糸は今でも使われていますが、
 より異物反応が少ない糸が、
 キズをキレイに治してくれます。
 形成外科で最も一般的なのは
 ナイロン糸(し)です。
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 ナイロン糸をはじめて使ったのが、
 釣り糸の二重手術だったのか?
 形成外科の手術だったのか…?
 その辺のところはわかりません。
 私は形成外科の手術に使われたのが古く、
 二重手術はその後だと思います。
 釣り糸のように透明なナイロン糸は、
 実際には使いにくいので…
 大部分のナイロン糸は…
 黒く着色してあります。
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 ナイロン糸や絹糸には、
 太さの規格があります。
 ナイロン糸は…
 2-0(にいぜろ)
 3-0(さんぜろ)
 4-0(よんぜろ)
 5-0(ごーぜろ)
 6-0(ろくぜろ)
 7-0(ななぜろ)
 8-0(はちぜろ)
 9-0(きゅうぜろ)
 10-0(じゅうぜろ)
 11-0(じゅういちぜろ)
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 数字が増えるほど細くなります。
 8-0(はちぜろ)より細い糸は、
 手術用顕微鏡で使います。
 USP規格という国際規格では、
 8-0(はちぜろ)のナイロン糸は、
 0.04㎜。
 7-0(ななぜろ)のナイロン糸は、
 0.05㎜となっています。
 形成外科で使う糸は、
 このように細く、
 異物反応が少ないので、
 抜糸もあまり痛くないのです。

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