医学講座
第116回日本美容外科学会(東京)②
昨日の院長日記でご紹介した…
bFGFを使った美容医療は、
将来有望な若返り治療です。
飯尾先生らのご尽力により、
適切な使い方もわかってきました。
ただ問題があることも事実です。
形成外科系の日本美容外科学会には、
多数の大学の形成外科教授も参加しています。
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もし、大学病院で…
bFGFの臨床研究をしようと思うと…
まず大学の倫理委員会の承認が必要です。
第116回日本美容外科学会では、
京都大学再生医学研究所の、
田畑泰彦教授が、
『バイオマテリアルからみた再生治療の現状と今後の展望』
…という特別講演をしてくださいました。
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田畑教授は、
bFGFを使って、
壊死になった足を治す治療をしていらっしゃいます。
田畑教授がディスカッションで発言されました。
『bFGFを使った研究が倫理委員会で承認されるまで6年かかりました』
しっかりと審査をして、
慎重に承認した結果です。
それで6年もかかったそうです。
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bFGFの一番心配な点は発癌です。
私が学会で聞いてきて…
『画期的なしわ取り法ができたって』
『注射するだけでしわがきれいに取れる』
『ただ発癌のリスクがある』
…と奥さんに話したところ…
しわが取れても癌になりたくないからしない
…と言いました。
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私自身は発癌のリスクは極めて低いと考えています。
ただ製造メーカーである科研製薬は、
注射剤として使うことを認めていません。
もちろん厚生労働省も認めていません。
ある先生が、
注射剤として承認されていない薬を注射して…
もし副作用が発現し…
将来、訴訟が起きたら100%敗訴です。
…と発言されました。
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私は石橋をたたいて渡らない人間なので…
bFGFを使った若返り治療は、
日本美容外科学会で認められるまではいたしません。
よく効く薬ほど、
慎重に使うべきだと思います。
使い方を誤るととんでもないことになります。
札幌美容形成外科では、
まだこの治療法は行いません。