わきが
汗とローンが残ったミラドライ
私が開業を思い立ったのは、
JA帯広厚生病院形成外科主任部長だった時です。
外来を受診した女性が、
市内の美容外科でわきが手術を受けたのに、
臭いも汗も残っているというのが主訴でした。
帯広市医師会_医者のつぶやき
2010年7月28日の院長日記に載っています。
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〔専門科〕形成外科〔年齢〕43〔勤務〕
当時は43歳でした。
私はわきがは恥ずかしいことではないと考えますが、
世の中には、
わきがが原因でいじめられたり、
消極的になったりする人がたくさんいます。
まだまだわきがに対する偏見がたくさんあります。
保険適応で手術が受けられることが、
ようやく北海道新聞にも掲載されるようになりました。
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ミラドライという米国製の機器があります。
この機器で治療を受けると、
汗も臭いも減ると宣伝しています。
手術後の固定も不要で、
簡単に楽になれるというイメージがあります。
はじめて学会で展示を見てから、
ず~っとこの機器に興味を持っていました。
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そんなにいい機器なら、
札幌美容形成外科でもすぐに導入しようと考えました。
機器の原理は電子レンジです。
電子レンジで調理ができるように、
皮膚の中にある汗腺を処理して、
臭いと汗の原因を取り除くという、
実に画期的な原理です。
機器も高価で、
消耗品のチップも一人分7万円もします。
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ネットで検索すると、
ミラドライ
大成功
モニター患者さん
…というような記事がヒットします。
私が最初に疑問に思ったのが、
東京で施術を受けた患者さんでした。
ミラドライという新しい機器で治療を受けてきたけど、
さっぱり変わっていないというのが主訴でした。
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その患者さんを手術しましたが、
汗腺はふつうに残っていました。
これが疑問の第一歩です。
最初はメーカーが、
一回の治療で満足できる結果と宣伝していました。
ところが、
最近では2回必要なこともあるに変わりました。
高価な治療なのに100%満足な患者さんばかりではないようです。
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今年9月に第38回日本美容外科学会が横浜で開催されました。
ミラドライのイブニングセミナーがありました。
座長の先生が、
レーザー脱毛の発明に匹敵する、
画期的な機器と持ち上げていました。
その会場で私が質問しました。
全国にあるミラドライセンター、
その近くで開業している美容外科には、
効果がなかったと受診する患者さんがいます。
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メーカーと発表した先生の回答は、
初期の治療方法では、
不満足な例がみられました。
現在の改良した方法では、
高い満足度が得られています。
私の容赦ない質問が続きました。
ネットでインストラクターまでする先生が、
今年施術した患者さんが、
3ヵ月しか持たなかった
…と札幌美容形成外科を受診しています。
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この私の質問に、
メーカーも発表者も返す言葉がありませんでした。
今年の学会では、
組織標本も出されていました。
確かに原理は素晴らしいですが、
実際の有効率はどの程度なものかわかりません。
私に言わせると、
35万円も払ったのに、
3ヵ月しか効かないなら全額返金です。
この院長日記に異論がある先生や業者さんは、
ぜひコメント欄から投稿してください。