医学講座

認知症の人々の「世界」

 平成28年3月3日、朝日新聞朝刊、天声人語です。
 認知症の人々の「世界」
 82歳のそのおばあさんは、病棟を自分の暮らしてきた町に見立てていた。デイルームにある置き畳は、近隣の住民が集まる「公民館」だ。廊下にある消火栓の赤いランプは、そこが駅前であることを示す。日中は鍵のかけられた病室が、彼女の自宅だ。
▼看護学者の阿保(あぼ)順子さんの著書『認知症の人々が創造する世界』が描く光景である。彼らがこの世界をどう見ているかが解き明かされる。周りからは「虚構の生活」と見えても、彼らにとっては「必死で作り上げた現実」なのだと説く。
▼91歳だった男性に世界はどう見えていただろう。9年前、認知症で徘徊(はいかい)中に列車にはねられ、亡くなった。JR東海はダイヤが乱れたとして損害賠償を求めていたが、最高裁はおととい、妻ら遺族に賠償責任はないという判決を下した。
▼「老老介護」である。一瞬たりとも目を離すなと要求するなら酷に過ぎよう。被害者側をどう救済するのかといった課題は残るものの、一、二審の判断を最高裁が覆したのはよかった。
▼認知症の人はなぜ「自分の世界」を創造するのか。終末期医療に取り組む大井玄(げん)さんの『病から詩がうまれる』は、自分と現実の世界とのつながりが切れてしまうという不安に耐えられないからだとする。
▼だから、不安を鎮めなければならない。決して怒らず、いつも笑顔で接しなさい、というのが大井さんの助言だ。「最良のかたみは、幸せそうな笑顔と笑い声」。91歳の男性も、最良のかたみを家族に残していったと思いたい。
 (以上、朝日新聞より引用)

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 昨日の院長日記にも書きましたが
 91歳のおじいさんが徘徊して列車を止めたとしても、
 家族に責任を取らせるのは無理です。
 男性のご長男は私とほぼ同年代です。
 奥さんが、ご主人の実家近くに住み介護なんて、
 本間家では絶対にできません
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 今日は朝から親父の病院に行って
 先生と看護師さん、
 リハビリの先生、
 医事課の担当者の方から、
 詳しくご説明をお聞きしてきました。
 こちらは、
 ただただ頭を下げるだけです。
 とてもよくしていただいています。
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 うちの親父は明日で90歳になります。
 リハビリの病院の入院期限は手術日から90日です。
 4月26日(火)が90日の期限です。
 それまでの間に、
 退院に向けて、
 いろいろ調整してくださるそうです。
 ありがたいことです。
 感謝するのみです。

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