医学講座
第26回日本熱傷学会北海道地方会②
昨日の第26回日本熱傷学会北海道地方会で、
一番お伝えしたいと思った発表です。
7.フッ化水素酸が原因と考えられた足背の化学損傷の一例
○本田 進1)、木村 中1)、松田識郁1)、曽根良子1)、北條正洋2)
函館中央病院形成外科l)、北海道大学大学院医学研究院形成外科教室2)
症例は67歳、男性。知人から譲り受けた業務用の洗浄液を使って換気扇の掃除をしていたところ、誤って洗浄液を左足にかけてしまった。近医の皮膚科を受診し、フッ化水素酸による化学損傷が疑われたため当院に紹介となった。初診時、左足背を中心に20cm×8cmの発赤、表皮剥離を認めた。生理食塩水で洗浄した後、グルコン酸カルシウムを局注し院内で精製したグルコン酸カルシウムゼリーを塗布した。外用剤による局所治療を続け、最終的に受傷44日目で治癒した。経過は良好である。当院では約2年前にフッ化水素酸による化学損傷の症例を経験していたため、本症例について比較的迅速に治療を開始することができた。これらの経験を踏まえ報告する。
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フッ化水素酸はこわいです。
業務用の強力な洗浄剤に使われることがあります。
適切な治療をしないと、
手術が必要なくらい、
皮膚が損傷してしまいます。
皮膚に穴があいてしまいます。
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函館中央病院形成外科からは、
2017年にもフッ化水素酸による外傷が報告されました。
第23回日本熱傷学会北海道地方会①
5.フッ化水素による指尖部の化学損傷の1例
函館中央病院形成外科
〇高橋紀久子、木村 中、本田 進、星野善允
症例は21歳、女性。大学での化学実験中に、50%フッ化水素酸が右環指にかかり受傷した。ただちに流水で洗浄し、当科を受診した。初診時、皮膚発赤やびらんなどの所見はなく、指先のごくわずかの疼痛の訴えを認めた。流水で40分間洗浄後、グルコン酸カルシウムの局注を施行した。受傷2日目、疼痛や皮膚損傷は認めなかったが、受傷3日目、指尖部の側爪郭に小潰瘍を認め、同部位の爪切り、ブラシ洗浄、グルコン酸カルシウムの局注を施行した。その後は速やかに上皮化し瘢痕を残さず治癒した。
考察として、フッ化水素酸が指先にかかった場合には症状がわずかであったとしても速やかな爪切りや抜爪処置を行い有効な洗浄を行う必要があったと反省した。また、グルコン酸カルシウム軟膏も治療に有効であるため本症例を経験後、当院では院内製剤として精製できるようにした。今後、同様の症例がきた場合には速やかに対応したい。
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函館中央病院では、
この時から、
院内製剤でグルコン酸カルシウムゼリーを準備されたそうです。
このグルコン酸カルシウムゼリーは、
簡単には作れません。
院内製剤を作っても、
約2ヵ月で期限が切れてしまいます。
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2017年から、
2ヵ月毎に薬剤師さんが作ってくださっていました。
北海道内の病院では、
おそらく函館中央病院だけです。
めったにない外傷ですが、
もし業務用洗浄剤による外傷を診たら、
フッ化水素酸のことを思い出してください。
函館中央病院に連絡すると、
グルコン酸カルシウムゼリーを
きっと分けてくださると思います。