医学講座
生きるしくみ700回
今日は2021年4月28日(水)です。
毎週水曜日に北海道新聞に掲載される、
札幌医大の當瀬規嗣とうせのりつぐ教授のコラムを楽しみにしています。
今日で700回目です。
素晴らしいことだと思います。
道新に記念講演会のことが載っていました。
とても参考になるのでご紹介いたします。
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2021年4月28日、北海道新聞電子版の記事です。
体の不思議、健康法伝え700回
「生きる」しくみの當瀬さん講演 新型コロナ予防 基本の徹底強調
札医大医学部教授で生きている人の体の機能や仕組みを解き明かす生理学者、當瀬規嗣とうせ・のりつぐさん(62)のコラム「『生きる』しくみ」(毎週水曜日掲載)が28日で700回を数えた。2006年から毎週、体の不思議や感動、健康づくりや病気予防などに関する正しい知識や情報を分かりやすい言葉で解説している。13日に札幌で開かれたUHB大学入学式で「『生きるしくみ』から新型コロナウイルスを考える」という題で記念講演した。その内容を詳報する。
ウイルスなど小さな病原体が人の体に侵入し増える、これが感染です。感染後、発熱などさまざまな症状が出る、これが感染症です。病原体が生存し感染を起こす源が感染源で、感染源から人へ病原体が移動する道筋が感染経路です。新型コロナは現状ではほぼ、人から人へ感染しています。
新型コロナはコロナウイルスの仲間です。コロナは昔から風邪を起こすウイルスが知られ、今も風邪の2~3割を占めます。2002年に重症肺炎を起こす重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルスが現れました。新型コロナウイルスはSARSによく似ていて「SARS―CoV―2」と名付けられ、新型コロナウイルス感染症を「COVID―19」と呼んでいます。
新型コロナはウイルス本体が脂質の膜で包まれ、突起状のとげがたくさん出ています。これが冠に見えるのでラテン語で冠を意味するコロナと呼ばれています。
新型コロナはどうやって人の体に入るのでしょう。ウイルスのとげが人の粘膜上皮細胞が持つある酵素と結合して体に侵入、感染します。この酵素が存在するのは鼻、口の中、のど、気管や気管支、血管内皮など。これらから侵入します。
どんな経路で感染するのでしょう。一つは飛沫ひまつ感染です。感染者の唾液には驚くほどのウイルスが含まれ、せきやくしゃみのほか話すだけで多くのウイルスを含む飛沫が出ます。会話で1メートル、せきで3メートル、くしゃみで5メートル先まで飛び、飛沫を吸い込んで感染します。
二つ目は接触感染です。飛び出して落下した飛沫は物の表面でしばらく生きています。それを手で触ってウイルスが付き、その手で口や鼻や目などを触ることで感染します。ウイルスの生存期間はボール紙の最長1日に対し、プラスチックやステンレスでは最長2~3日との報告があります。ボタンやドアノブ、取っ手などは意外と長い。また、人は無意識に顔を手で触ります。1時間に平均23回も触った研究があるのです。
最後がエアロゾル(飛沫核)感染です。発せられた飛沫が乾燥して水分がなくなると小さくなり長時間空気中を漂います。これを吸い込むことで感染します。
感染を防ぐにはどうしたらよいでしょう。まずは徹底した手洗いです。先ほど新型コロナウイルスは脂質の膜で包まれていると話しました。この膜はせっけんにすごく弱いのです。ウイルスをせっけん水に入れると壊れます。ですから手をせっけんで洗うことがとても大事。普通のせっけんで十分です。親指や、指と指の間など洗い残してしまいがちな部分に注意し、1回に約30秒かけて手をしっかり洗ってください。
次がマスク着用です。一般的な不織布マスクは5マイクロメートルの穴が開いています。ウイルスは0.1マイクロメートルでマスクを通過できるので(着用者がウイルスを吸い込む)感染を防ぐことはできません。ではなぜマスクか。それは(感染者が)マスクの穴よりも大きい飛沫を飛散させるのを防ぐためです。もしかしたら自分も知らぬ間に感染しているかもしれません。ですから飛散防止のためには(感染者だけでなく非感染者も)全員が着用するのが一番効果的です。
先ほど人は無意識に顔を手で触ると話しました。マスクを付けると、鼻をこする、口を触る、目をこするなど感染リスクを高める動作を防げます。接触感染を防ぐことができるのです。他にも、室内のこまめな換気や3密を避けて他人と約2メートルの距離を保つことも感染を防ぐ大事な対策です。感染に気をつけ皆で新型コロナを乗り越えましょう。(編集委員 岩本進)
(以上、北海道新聞電子版より引用)
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とても勉強になりました。
①徹底した手洗い
新型コロナウイルスは脂質の膜で包まれている。
この膜はせっけんにすごく弱い。
ウイルスをせっけん水に入れると壊れる。
普通のせっけんで1回に約30秒かけて手をしっかり洗う。
②マスク着用
ウイルスはマスクを通過できる。
ウイルスを吸い込むのを防ぐことはできない。
マスクの穴よりも大きい飛沫を飛散させるのを防ぐ。
マスクを付けると、鼻をこする、口を触る、目をこするなど
感染リスクを高める動作を防げます。
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なるほど、
せっけんで洗うとウイルスが壊れる。
マスクでウイルスの浸入は防げないけど、
顔に触らないようになるので、
接触を防ぐことになる。
ボタンやドアノブ、取っ手など
プラスチックやステンレスでは最長2~3日ウイルスが生きている。
なるべく手を触れない。
外でコンタクトを触るのもダメです。