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チェリー天国へ

 愛犬のチェリー今朝亡くなりました。平成4年3月16日生。15歳3ヵ月でした。苦しまずに眠ったまま呼吸が止まりました。直接死因:慢性腎不全。直接には死因に関係していないが、経過に影響を及ぼした病名:悪性リンパ腫。
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 人が亡くなった時は死亡診断書を書きます。形成外科医は死亡診断書を書くことは少ないのですが、私も何十枚か書いています。
 診断書の書き方は、法医学で習います。日本全国どこへ行っても同じ書式です。死因の種類や発病 (発症)から死亡までの期間、死亡した日時・場所などを記入します。記載を間違うと生命保険の支払金額に影響する場合があるので気をつけます。
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 チェリーは6月16日(土)朝までは、エサを食べワンと言っていました。16日夕から急に状態が悪くなり、呼びかけても反応しなくなりました。
 16日夕からは、水も飲まなくなりました。最後に尿が出たのが17日(日)の昼でした。人も動物も尿が出なくなると死期が近くなった証拠です。
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 病院に入院していた患者様の容体が悪くなり、『ご家族を呼んでください』とか『会わせたい方を呼んでください』と言うことがあります。
 事故や急病で亡くなる以外は、ある程度の経過があって亡くなります。この『危篤です』と申し上げるタイミングが難しいのです。
 亡くなる30分前にお伝えすると、『間に合わない』方が出てきます。逆に3日前に伝えても『あと3日ですか?』ということになります。そもそもあと3日とか30分とか死期を正確に予測すること自体が極めて難しいのです。早く呼びすぎて『仕事の都合があるので、あとどの位でしょうか?』と聞かれたこともありました。死期を正確に予測できる先生はかなりの名医です。
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 亡くなる直前は意識がなく、呼びかけても反応しないのが普通です。偶然、体を動かしたりすると、あっ何か動いた。と周りの人は思いますが、本人はわかっていません。
 全身麻酔をかけてから、人によって手や足をバタバタ動かす方がいらっしゃいます。手術後に本人にお聞きしても、「まったく何も覚えていません」痛くありませんでしたと言われます。
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 本人は意識がなくても、周りの人が見て苦しそうに見えることがあります。たとえば肺に合併症があって呼吸が苦しそうに見える時は、たとえ本人の意識がなくても周囲がかなり辛いものです。
 ドクター・キリコではありませんが、死期の迫った人に薬や麻薬を上手に使って、本人も家族も苦しまない最期を迎えさせる技術は必要です。
 ‘安らかに死を迎える麻薬の使い方’なんて技術は、医学部では‘絶対に’教えません。もし教えたとすれば、マスコミに叩かれてひどい目にあいます。
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 幸いチェリーは苦しんだりせず、眠るようにゆっくり呼吸が止まりました。
 人間、誰しも苦しまず楽に最期を迎えたいと願っています。
 私自身は安楽死が合法化されたら、真っ先にお願いします。楽に麻酔をかけられたように永遠にゆっくりと眠らせて欲しいと思います。
 家族の一員として、私たちに安らぎと幸福を与えてくれたチェリーに感謝します。
 ありがとうチェリー。安らかに眠ってください。
 チェリーは、私の好きなラベンダーの下に葬ってやろうと考えています。

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