医療問題
ジェネリック医薬品
私の日記を掲載させていただいている美容の杜で、
ジェネリック医薬品についてご質問を受けたので、
回答を兼ねて記載いたします。
平成20年2月19日の日記に書いたガスターを例にとってみます。
ガスターは山之内製薬㈱が開発した、胃潰瘍の薬です。
胃酸という強力な酸で胃の粘膜が損傷され、胃潰瘍になります。
ガスターはこの胃酸の分泌を抑える作用があります。
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ガスターなどの薬が発売される前は、胃潰瘍で吐血を繰り返すと、
消化器外科で胃を切除するのが一般的でした。
ところが、H2(エイチツー)ブロッカー(ガスターなどの薬)という薬が発売されると、
胃潰瘍で吐血するような人はいなくなりました。
この薬が発売された頃には『外科医殺しの薬』と呼ばれたほどでした。
それほど、劇的な効果があったので、
胃潰瘍で手術する人がいなくなり、外科医が失業するという意味です。
当時の山之内製薬㈱はかなり収益を上げたと思います。
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開発の詳しい経緯はわかりませんが、
当時は夢の新薬と言われました。
ところが、ガスターも製造特許(最長で25年です)が切れると、
他のメーカーが、まねっこをして、
同じ成分の薬を作ることができるようになりました。
ただし、ガスターというのは商品名なので使えません。
これが、2月19日に書いた、
・ガモファー
・ガスイサン
・ガスセプト
・ガスドック
・ガスポート
などという製品の名前です。
覚えやすいように、ガスを頭につけているところが笑えます。
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競争社会の宿命とはいえ、高額の開発費をかけて作った薬を
簡単にまねっこされて、
安く売られる製薬メーカーが可哀想な気もします。
欧米では、このまねっこして作った薬の市場占有率が高いのです。
まねっこ薬=ジェネリック医薬品です。
有効成分名を指す一般名(generic name)で処方されるので、
「ジェネリック医薬品」と呼ばれます。
昔は、特許権が消滅した後、ゾロゾロと出てくるので、
「ゾロ」とか「ゾロ薬」と呼んでいました。
安い薬は、医療費の抑制には効果的です。
ただ、安売りばかりが強調されると、
メーカーの製品開発力がなくなります。
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2008年4月1日からは、医師が特に指示しない限りは、
調剤薬局の薬剤師の判断で、後発医薬品に変更できるようになりました。
ですから、先生に遠慮して、
『安い薬にしてください』
と言えない人でも、
調剤薬局で簡単に『安い薬』に変更できるようになったのです。
調剤薬局でお薬をもらう時に、
『安い薬』をお願いしますと言うだけでOKです。
処方してくれた先生にも知らされません。
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『安い』からといって、中国製ではありません。
ジェネリック医薬品メーカーは日本の製薬会社です。
厚生労働省の認可を受けて製造販売しています。
いままで、ジェネリック品だから不良品だった、
という話しも聞いたことがありません。
ですから、安心してお願いしてください。
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実は、札幌美容形成外科では開院時から、
ジェネリック医薬品を採用しています。
もちろん、先発品と言われるお薬も使っています。
抗生物質などはジェネリック医薬品です。
自分や家族も内服しています。
何の問題もありません。
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また、札幌美容形成外科では院内でお薬をお渡ししています。
これは、‘美容外科’と書かれた処方箋を持って、
調剤薬局まで行くのがイヤだという心理。
院内でお薬をお渡しした方が、
調剤薬局でいただくより、『安い』からです。
たかが薬といえど、
同じ成分でもかなり価格の開きがあります。
国全体でみると、ガソリンよりも影響が大きいかも知れません?