医療問題
歯科医院乱立
平成20年4月18日、北海道新聞夕刊の記事です。
歯科医院が乱立 廃業も
激戦区・札幌 適正数の倍
収入激減
夜間診療で患者確保
医師不足と裏腹に、
都市部を中心に歯科医が過剰になっている。
中でも札幌市内は全国有数の激戦区で、
適正数の二倍にも。
患者確保のため夜間診療に走る一方、
「生活が苦しい」と、
廃業する例も後を絶たない。
(生活部 荻野貴生)
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「患者、何人来ている?」
「○×先生は60歳を契機に廃業するそうだ」―。
ここ数年、歯科医が顔を合わせると
こんな“不景気”な話が交わされる。
歯科医院の過剰が背景にあるからだ。
特に札幌市中中央区の
JR札幌駅から大通公園にかけての
約五百㍍は乱立状態。
複数の歯科が同居するビルもあり、
ビルで働く人を奪い合っているほどだ。
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国が1985年に定めた歯科医師の適正数は
人口十万人当たり50人。
2004年の道内は同76.6人で、
全国平均(74.6人)を上回る。
歯科医不足の農漁村部もあるが、
札幌市に限ると同103.5人にも。
新たに増えた歯科医師はほとんどが、
開業医や歯科医院の勤務医になっている。
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増えたのは、
一部の私大で定員を上回る学生を入学させ、
国の定員削減方針を有名無実化させた点が大きいという。
さらに、50代の歯科医は
「開業医が多くなったのは、歯科診療報酬の据え置きが要因。
不採算を理由に総合病院の歯科・口腔外科の廃止が相次いだため」
と解説する。
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過当競争から、収入も激減。
60代の歯科医は
「30年以上前は年収が2千万円を超す開業医も多くいたが、
今や大半が400万から500万円」と明かす。
実際、厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会が調べた
賞与を含めた平均月収(2004年)は
開業歯科勤務医は55万円。
開業歯科医は122万円だが、
設備投資の返済金などを除くと、
サラリーマンとあまり変わらないという。
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札幌市の住宅街で開業する40代の歯科医は
2年前から患者確保のため、
土日も平日並みの診療体制に変えた。
「祝日以外無休で、
午後九時ぐらいまでやっているところもあり、
みんなへろへろ」
中心部の開業医も
「ビルで開業しても5千万円の資金が要る。
借金返済に追われ、
設備が古くなっても投資ができない」と嘆く。
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札幌中心部で30年以上開業している
石丸歯科の石丸俊春院長は
「歯科医が増え続けると、
過当競争で(過剰診療が増え)、
医療費が膨らむ。
財政難で保険診療が崩壊する恐れもある」
と警告する。
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過当競争を防ぐ妙案はあるのか。
北海道歯科医師会の馬場宏治常務理事は
「歯科医の地域偏在を是正するほか、
研究体制強化で大学に残れるようにしたり、
開業医の定年制を設けるのも一つでは」
と提言するが…。
(以上、北海道新聞より引用)
札幌歯科医師会の名簿を基に作成
赤丸●が歯科医院の位置
(地図の場所と実際の位置はずれている場合もある)
(図と説明は北海道新聞より引用)
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美容外科も札幌駅周辺は激戦区です。
昨年末から、大手チェーン店2店が、
まるで競争するかのように…
道路をはさんで向かい合わせで開業しました。
東京新宿や横浜では、
同じビルに2店が入っているところもあります。
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クリニック経営も楽ではありません。
私たち個人開業医は、
価格で大手に対抗はできません。
対抗したところで、負けるのは目に見えています。
二重まぶたの安売り合戦も、
とうとう一万円を切りました。
実際に一万円以下のクリニックへ行って…
手術を受けようとしたら、
これではできないからと、
高いコースをすすめられ…
当院へ相談に来院される方もいらっしゃいます。
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ある大手チェーン店は、
美容整形の‘安売り’は利益率が低いので
近視矯正の‘眼科’へ商売換えするそうです。
近視矯正も一時に比べると価格が下がりました。
こちらも、安売りに走ると淘汰は時間の問題です。
早くはじめて、ガッポリ儲けた者勝ち…
なんて‘医療’があってよいのか?
と考えてしまいます。
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確かに‘安くてうまい’は魅力的な言葉です。
レストランや食堂でしたら、流行ります。
でも、使っている食材が中国製…
安いのには、裏がある…
なんてことがバレると、すぐにつぶれます。
私は、しっかり治療していただけるのでしたら、
医科も歯科も
一般診療科も美容外科も
適度に安いのは、よいことだと思います。
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ただ、歯科医師が
朝早くから
夜遅くまで働いても…
借金も返せないようでは…
しっかりとした医療は受けられないと思います。
乱立と言われて、歯医者さんもお気の毒です。
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私のPMTCのように、潜在的な患者はまだまだいると思います。
昔は、歯が痛くならないと歯科を受診しませんでした。
床屋さんより安い金額で、
歯のケアーをしていただけるのでしたら、
まだまだ患者数は増えると思います。
予防歯科に力を入れると、総医療費の抑制につながります。
せっかく歯医者さんが増えたのですから、利用しようじゃありませんか!
歯医者さんにも、頑張っていただきたいと願っています。