医療問題

市立札幌病院苦境に_競争激化赤字に

 平成28年3月13日、北海道新聞朝刊の記事です。
 アングルという2面のトップに大きく載っていました。
 市立札幌病院苦境に_競争激化赤字に
 患者減少も続く 改善へ地域との連携強化
 検査情報共有など独自策
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 市立札幌病院(関利盛院長、札幌市中央区)が患者数の減少で厳しい経営状況に直面している。 診療報酬 の引き下げに加え、積極的に 設備投資 する市内の民間病院との競争も激化しており、2014年度は過去10年で最大となる10億円余りの経常損失を計上した。不採算となりやすい救急や周産期医療など公立病院としての役割を担いながら、どう経営を立て直していくかが問われる。
 市立札幌病院で昨年12月、大きな変化が生じた。同11月まで17室あった6人部屋の病室がすべて4人部屋になり、これとは別に一部の病室は面談室になった。一般病床は752床から701床に51床減った。
 4人部屋の患者からは「ゆったりできる」と好評だが、同病院の苦肉の策だ。2014年度の病床利用率が初めて70%を下回り65.9%となった。3年連続で70%を割ると、総務省から経営改善計画の提出を求められるため、利用率の向上を図る必要があった。
 背景には市立札幌病院の厳しい経営状況がある。2014年度の1日当たりの入院患者数は、前年度比8%減の526人と4年連続で前年度を下回った。外来患者数も同5%減の1663人。この結果、医業収益が前年度比2.9%減の187億900万円で、経常損失が10億4500万円と5年ぶりの赤字になった。2014年度ほどではないが、2015、2016年度も赤字が続く見込みだ。
 同病院が経営不振の理由に挙げるのは、診療の対価となる診療報酬の改定だ。歳出の抑制を図る国は2003年度以降、患者の在院日数が長くなると報酬を削る改定を重ねた。これを受けて同病院は早期退院を進めている。
 経営改善のためには、退院した分、新規の入院患者を増やす必要があるが、市立札幌病院の入院患者数の落ち込みは他の病院より大きい。総務省によると、道内の市町村立病院では2013年度の1日当たりの入院患者数が2008年度比8.3%減、外来患者が同6%減。これに対し、市立札幌病院の減少率は入院が同12.2%、外来が同7.6%だった。
 札幌市内のある医療関係者は「医療機関が多い札幌で、市立病院は他院との差別化が図られていない」と指摘する。病院間の患者獲得競争で、後手を踏んでいるとみる。
 市立札幌病院の「ライバル」となる市内の民間大病院は近年、大胆な設備投資や専門治療を売りにし、患者を呼び込んでいる。昨年11月に移転新築した札幌禎心会病院(東区)は放射線の一種をがんなどの病巣だけに効率的に照射できる 陽子線治療 器を導入した。社会医療法人孝仁会(釧路)は脳神経外科や心臓血管外科などに特化した新病院を市内西区に建設している。
 市の予算で運営する市立札幌病院では、市民負担につながる設備投資を集中的に行うのは簡単ではない。
 危機感を抱く市立札幌病院は他の病院との差別化に着手。一般病床の削減分とは別に、一部を重症患者用の病床に転用し、発症から間もない「急性期」の対応を強化した。
 今年1月中旬からは、市立札幌病院に登録した医療機関が、インターネットで同病院の患者の検査や投薬データを閲覧できるシステムを導入した。市立札幌病院の患者を引き受ける中小医療機関との情報のやりとりを密にすることで、入院患者を紹介してもらいやすくする関係づくりを期待する。2016年度中に登録機関を150施設に増やし、将来的には300施設を目指している。
 道内の主要民間、公立病院でつくる北海道病院協会の徳田禎久理事長(札幌禎心会病院院長)は「病院間での役割分担が進む中、市立札幌病院には高度救急や周産期医療といった、民間病院では採算面で難しい医療を担うことが期待されている。かかりつけ医療機関との連携強化などで経営健全化を図ってほしい」と話している。(報道センター_根岸寛子)
20160313-1

患者数減で厳しい経営状況に直面している市立札幌病院

20160313-2

(以上、北海道新聞より引用)

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 市立札幌病院で、
 医師としての青春時代を過ごした私にとって
 残念な報道です。
 ちょっとだけ市立札幌病院を弁護させていただきます。
 国の医療政策が、
 市立札幌病院の赤字に関係しています。
 地域医療支援病院という制度です。
 平成26年9月1日から、
 原則紹介制といって紹介状が必要な科が多くなりました。
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 眼科、
 泌尿器科、
 外科、
 腎臓内科、
 脳神経外科、
 リウマチ・免疫内科、
 血液内科、
 糖尿病・内分泌内科、
 感染症内科、
 放射線治療科、
 放射線診断科、
 緩和ケア内科、
 腎臓移植外科、
 呼吸器外科、
 ※精神科(平成24年導入済み)
 原則として紹介状を持たない患者さんは自宅近隣の医療機関又は当院周辺の医療機関を紹介します
 健康診断で要精密検査と書かれた結果を持っていれば受診予約ができます

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 幸い、形成外科は、
 紹介状がなくても受診できます。
 ただ、
 特別料金(非紹介患者加算額)として2,000円(消費税別)がかかります。
 市立札幌病院近隣の住民は、
 かかりたくても、
 紹介状がないと、
 市立札幌病院にかかれません。
 職員も同じです。
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 昔は、
 市立札幌病院の看護師さんは、
 市立札幌病院の眼科にかかれました。
 コンタクトで目が赤くなったので、
 『眼科の先生からコンタクト禁止』って言われた、
 …という看護師さんもいました。
 残念なことですが、
 市立札幌病院の職員ですら、
 市立札幌病院で診てもらえないのです。
 職員も、
 自宅近隣の医療機関又は当院周辺の医療機関を利用しています。
 これも患者数減少の一つの原因です。
 私はとてもいい病院だと思います。
 市立札幌病院の赤字が少しでも減ることを祈念しています。

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