医学講座

「プチ整形」まさか失明

 平成28年6月12日、朝日新聞朝刊の記事です。
 プチ整形まさか失明「鼻を高く」未承認剤の注射後
 注射だけで気軽にできる「プチ整形」の一部で、失明や皮膚の壊死(えし)といった重篤なトラブルが起きている。専門医によると、鼻を高くすることなどに使う充塡(じゅうてん)剤(フィラー)が原因だという。詳しい調査はされておらず、現在も使っているクリニックは少なくない。
 近畿地方の大学病院に2014年、体のふらつきと右目の異常を訴える20代の女性が運び込まれた。翌日、目は光を感じなくなり、右眉から鼻にかけて皮膚が壊死した。女性は鼻を高くするため、美容クリニックで鼻の付け根の骨膜付近にフィラーを注射された直後だった。
 検査の結果、フィラーが血管に入って周辺の血流を止めたことが原因と判明。女性は約2週間入院し、ステロイド剤を使って炎症を抑える治療を受けた。だが右目の視力は失われ、顔には大きな傷が残った。
 女性に使われたフィラーは、歯の主成分と同じハイドロキシアパタイトの微細な粒を含んだジェル状の注入剤。国内では未承認だが、顔の整形で一般的に使われているヒアルロン酸より矯正した形が長持ちしやすいとして、数年前から使われ始めた。
 美容医療の事故情報に詳しい日本形成外科学会理事長で大阪大医学部の細川亙教授によると、この製品による事故は関東や北海道の病院で報告されている。
 ハイドロキシアパタイトは分解することが難しく、術後に血管を圧迫するなどのトラブルが起きると処置は非常に困難だという。ヒアルロン酸でも同様の事故は起こりうるが、薬剤注射で分解できる。
 視力障害、皮膚の壊死は多くの基幹病院が経験しているという医師の一人は「被害者は事前に危険性について説明を受けていなかった。自分が治療した人を含め、多くはクリニックとの間で示談になっているため問題が知られないできている」と話す。
 この製品は米国など海外では、ほうれい線などのしわを目立たなくするための医薬品として承認を受けている。国内の輸入代理店の担当者は「事故については把握しており医師には説明している。医師の技量の問題だ」と話す。
 美容クリニック側の対応は分かれる。札幌市のクリニック院長はこの製品を使った隆鼻法を「安全が保てないと判断し、昨年秋にやめた」と話す。一方、大阪市内のクリニックはウェブサイトで「メイク感覚」などと宣伝し、危険性には触れていないところも多い。
 フィラーを使った美容整形は、しわの治療や顔輪郭の矯正など幅広い。皮膚を切ることなく矯正部分に注射するだけで済み、気軽さから「プチ整形」と呼ばれる。しかし、「統計がない」(厚生労働省)ことから実態は不明。使用は広がっているとみられているが、国はトラブルについて注意喚起をしていない。
 細川教授は「プチ整形は簡単に受けられるから安全だと思っている人が多い。だが、事故が起きた際の危険は、整形手術より大きいこともあると認識してほしい」と話す。
事故情報、共有されず
 「論文などで事故が報告されているのに野放しなのは美容医療ならではだ」。フィラーが原因の皮膚壊死を治療したことがある関東地方の形成外科医は嘆く。
 美容外科などの美容医療は、医師法で医療行為として定められている。だが、病気が原因ではない場合、健康保険は使えない自由診療となるのが一般的だ。
 保険診療は、厳しい審査を受け、認可された手術や薬剤に限定されている。これに対し、美容医療で使われている薬剤の多くは未承認だ。過去には海外製のフィラーから猛毒のヒ素が検出されたこともある。
 患者の安全のためには事故や合併症の情報共有が不可欠だが、美容医療の関連学会は出身科で二分されたままの状態が続く。統一的な対策を取るのが難しいのが実情だ。
 日本美容外科学会(JSAPS)の百束比古(ひゃくそくひこ)理事長は「営利追求になっていることや、形成外科の知識がない医師が参入していることが、問題を深刻にしている。医師教育を高める取り組みはしているが、改善には時間がかかる」と話す。
 厚労省医療安全推進室は「現行の事故情報の収集制度では、小規模クリニックが多い美容医療の情報はなかなか入ってこない」という。消費者事故を担当する消費者庁消費者安全課も「こちらで医療機関のリスクを把握するのは困難。施術を希望する際は担当医師の経歴や専門を確認してほしい」と話している。(重政紀元)
20160612
20160612-2

(以上、朝日新聞より引用)

      ■         ■
 私が昨年9月から、
 声を大にして言っていた、
 レディエッセによる失明事故です
 朝日新聞が、
 慎重に調査をして、
 記事にしてくださいました。
 本文中にある、
 札幌市のクリニック院長
 この製品を使った隆鼻法を
 「安全が保てないと判断し、昨年秋にやめた」と話す。

 …は私のことです。
      ■         ■
 レディエッセを中止しました2015
 2015年9月3日の院長日記です。
 日本形成外科学会理事長の、
 細川亙(ほそかわこう)先生が、
 美容医療で悲惨な結果が出ていることを周知するために、
 闇に葬られてしまいそうな事例を拾い上げて、
 形成外科の学術専門誌で取り上げました
      ■         ■
 日本形成外科学会誌ではなく、
 克誠堂出版の形成外科
 に掲載したのは、 
 形成外科学会員以外の、
 美容外科医にも読んでもらいたいからだと思います。
 残念なことですが、
 このレディエッセ以外でも深刻な健康被害が出ています。
      ■         ■
 昔から、
 美容外科による健康被害はあります
 きれいになりたい
 という
 乙女心
 につけ込んで、
 これでもか、
 これでもか、
 …と自分の身内なら絶対にしない手術をすすめる美容外科があります
      ■         ■
 もし健康被害に遭われた方がいらしたら、
 弁護士さんに相談することをおすすめします。
 北海道でしたら、
 札幌弁護士会の高橋智先生をおすすめします
 全国の弁護士を知りたかったら、
 医療事故情報センターです
 何度も院長日記で取り上げています。
 美容外科での死亡事故2014
 品川美容外科の「糸によるフェイスリフト術」問題
 医療事故情報センター
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 名古屋市東区泉1丁目1-35ハイエスト久屋6階
 電話:052-951-1731
 FAX:052-951-1732

 朝日新聞で報道された患者さんが、
 少しでも元気になってくださることをお祈りしています。
 記事を書いてくださった、
 重政紀元しげまさのりゆき記者に感謝いたします。

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