医学講座

美容外科での死亡事故2014

 昨日の院長日記、
 無痛分娩で妊婦及び胎児が死亡した事例
 何度も思い出します。
 ほんとうに残念な事故です。
 私が妊婦さんの夫だったら、
 妊婦さんの父親だったら、、、
 …と悲しくなります。
      ■         ■
 残念なことですが、
 美容外科でも死亡事故はあります。
 数年前まで、
 ピンクのど派手なHPで、
 開院以来死亡事故ゼロと、
 大きく書いてあった美容外科チェーン店がありました。
 しばらくして、
 その開院以来死亡事故ゼロが消えました。
 業界では、
 ○○院で亡くなったといううわさがあります。
      ■         ■
 死亡事故をよく知っているのは、
 救命救急センターの医師です。
 札幌市内で異常が起きると、
 多くの患者さんは、
 市立札幌病院救命救急センターに搬送されます。
 DOA(心配停止状態)で搬送され、
 蘇生処置がなされて、
 心拍が再開しても、
 意識が回復しないまま亡くなることがあります。
      ■         ■
 私が知っている美容外科の死亡事故は、
 麻酔に関係する事故です。
 もう少し早く異常に気付いていれば、
 適切に処置がなされていれば、
 亡くならなくても済んだと、
 私は考えています。
 新聞でも、
 TVでも報道されていません。
 残念な事故です。
      ■         ■
 診療科目を問わず、
 医師は常に、
 自分も事故を起こす
 …と考えて診療にあたるべきです。
 大切なのは、
 もし異常状態になっても、
 適切に対処できる知識と技量です。
      ■         ■
 麻酔科研修の想い出⑥
 医療事故を防ぐには⑥
 …に書いたように、
 偉大な教育者とは、
 自分がした失敗を、
 いかに繰り返さないか…?
 ということを正確に教える人のように思います。
 たくさんの麻酔科教授を輩出した、
 札幌医大麻酔科学教室には、
 ケースカンファレンスという、
 症例検討会がありました。
      ■         ■
 私が研修していた当時は、
 医局長の本間英司先生が、
 閻魔帳(えんまちょう)と呼ばれたノートを持って、
 各手術室を歩いて見ていました。
 何かトラブルが発生すると…
 ケースカンファレンスで発表が、
 命じられました。
 毎週行なわれるケースカンファレンスでは、
 どうしてトラブルが起きたのか
 トラブルを未然に防ぐにはどうしたら良いのか
 などを詳細に調べて発表しました。
      ■         ■
 一人が起こしたトラブルは
 他の先生が起こす危険性があるからです
 熱心に討論が繰り返され、
 容赦ない質問が上の先生からも
 下の先生からもありました。
 こうした
 失敗から学ぶ
 失敗を共有する
 ということが、
 医学の発展には必須だと思います。
      ■         ■
 厚生労働省が行っている、
 医療安全政策はだめです。
 有益な情報はさっぱり伝わってきません。
 私は、
 医療事故情報センターニュースを、
 定期購読することをおすすめします。
 年間3,240円です。
 毎月一回送っていただけます。
 
 医療事故情報センター
 〒461-0001
 名古屋市東区泉1丁目1-35ハイエスト久屋6階
 電話:052-951-1731
 FAX:052-951-1732

 日本の医療事故が無くなることが、
 亡くなった妊婦さんと赤ちゃんの供養になります。
 心からご冥福をお祈りいたします。
 助けてあげられなくてごめんなさい。

“美容外科での死亡事故2014”へのコメント

  1. さくらんぼ より:

    昨日は現役の麻酔科の先生からコメントいただけて大変嬉しいです。たくさんの方々がこのブログを拝読してくださっているんだと改めて思いました。私は患者側の立場からしかコメントできないしこうした現役の現場の声が聞けて嬉しいです。大学病院での麻酔は麻酔科の医師が何回も説明などしてから手術しましたがみゆき会病院での手術は麻酔科がないので大学病院から麻酔科教授に来ていただき手術しました。上手、下手があるのかわかりませんが、術後の吐き気も喉の痛みもなく今までで一番楽な麻酔でした。 麻酔のミスで赤ちゃんとお母さんがなくなられたなんて本当に残念です。ご冥福を心からお祈りいたしております。

  2. なっちゅん より:

    麻酔って怖いものなんですね。
    歯科やペインでキシロカインを打って貰うのがせいぜいです。
    購読すれば、たゆまぬ努力が身を結ぶことでしょう。
    先ずは購読していただきたいですね。
    ご冥福を心より申し上げます。

    私は左腕を一ヶ月前から患い、昨日激痛がとうとう走り病院に行ってきました。
    原因は、ねながらiPhoneのしすぎです。
    背中を洗うのと、洗髪に苦労してます。
    何処が悪くても大変です。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございました。私も五十肩になり大変痛い思いをしました。理学療法士の先生にお世話になり元に戻りました。恥ずかしながら姿勢が悪いことを教えていただきました。肩甲骨を寄せる体操や体幹の筋肉を動かす運動を教えていただきました。お大事になさってください。

  3. tomopi より:

    1996年NTT病院の麻酔科で本間先生に右側の痛みを取る神経ブロックの手術を受け、副作用として左側に汗が出ると言われましたが術後は無かったのに、副作用がどんどん酷くなり生活にも支障がでり、元のNTT病院の麻酔科に係りましたが本間先生は居なく偉い女医に星状神経ブロックや薬処方されても効かず、偉い女医に治す治療法は無いと言われ学会でも発表でもしないとなど言いながらひとつも取り合ってくれず今この苦しみに答えてくれる先生や科はいません。医者は何の為に居るのかと思う医師が多く難病の私には明日がみえない出来事が多くあります。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    本間英司先生は私が尊敬する麻酔科医です。私が知っているNTT病院麻酔科の女性医師は優秀な先生です。症状がつらいことは理解できますが、その先生と合わないのでしたら別の先生にかかることをおすすめします。

  4. tomopi より:

    コメントありがとうございます。
    有り来たりの返答で残念です。
    合う合わ無いのでは無く、患者の症状に対して心底治そうと言う意思があればなぜ治そうと手を打たないのか。
    何おして優秀というのか、治せる意識や技術などない医師や教授を何十年関わっていますが、それでも優秀といえますか?違う処と言うのは簡単です。では、治せない治療を治す処を教えてくれ無いのですか?辛い患者の症状を擬似体験し無いと判ら無いと思います。
    色々ありがとうございました。

  5. くくるん より:

    美容外科で起こる死亡事故が麻酔によるものというのは
    意外です。
    でもそういうのを考えて受ける人って少なそうです。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    私が知っている札幌で起きた2件の死亡事故はどちらも麻酔が原因です。しかも1件は局所麻酔です。ほんとうに残念なことです。

  6. くくるん より:

    2回目コメントです。
    昨日、名古屋の美容外科での手術中に、死亡事故があったことをYahoo!ニュースで知りました。

    麻酔が原因との報道もありますが、このことが公になったことが驚きでした。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。私のところにも東京のTV局から電話取材がありました。手術中だったので今日は出られませんでした。報道されていない美容外科の死亡事故はたくさんあります。今回の事故は搬送先ですぐに死亡が確認されたため異常死として警察に届出る必要があったと推測します。救命救急センターに搬送された時に心肺停止状態だったとしてもそれから蘇生して心拍が再開するとすぐに異常死として届出ることはありません。私が知っている死亡事故はだいたい3週間くらい救命救急センターで治療後に亡くなりました。司法解剖になった例もありますが報道はされていません。

  7. くくるん より:

    なるほど。
    コメントいただき、ありがとうございます。

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