医学講座
ロンドンの火災
ロンドンの高層アパートで火災が発生し、
多数の死傷者が出ています。
スプリンクラーが設置されていないことや、
防火設備の不備が報道されています。
日本のタワーマンションは安全という報道もありますが、
油断はできません。
災難はいつ起こるかわかりません。
■ ■
私は日本熱傷学会に30年以上参加しています。
日本は安全な国です。
いわゆる大やけどは減っています。
全身熱傷の救命率も上がっています。
でも、
安心はできません。
一度に数十人が重症熱傷になったら、
札幌市ですら、
救命できる人数には限りがあります。
■ ■
マンションの火災で、
こわいのが気道熱傷きどうねっしょうです。
私が形成外科の修行をした、
北大形成外科では、
北海道の炭鉱で起きた、
重症熱傷の治療をしていました。
私が中学生だった頃です。
■ ■
下の写真はネットにあったロンドンの火災です。
消防車の放水が届きません。
もちろんはしご車も届きません。
猛烈な煙が出ています。
有害な煙もあります。
煙を吸って、
肺がやられるのが、
気道熱傷きどうねっしょうです。
死亡率が高い外傷です。
■ ■
♡安全♡と言われる、
日本のタワーマンションにも、
意外な盲点があります。
セキュリティです。
防犯機能がついた最新のマンションでは、
ICチップがついた鍵がないと、
たとえ救急隊でもマンションに入れません。
部屋で倒れて119番をして、
その後に意識を失うと、
マンションに到着した救急隊員が部屋まで来れません。
■ ■
災難はいつやって来るかわかりません。
安全と言われる日本のマンションでも、
決して油断はできません。
非常階段を降りる練習や、
屋上ヘリポートへ上がる階段通路は、
マンションの避難訓練で、
ぜひ確認してください。
せまくて上がりにくいことが多いです。
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地上40階のマンションの上にあるヘリポートは、
とても風が強いことが多いです。
その上ヘリの風がすごいです。
救助してもらうのも命がけです。
私はいざという時のために、
いつも携帯をフル充電にしています。
電池のもちが悪いスマホは特に注意です。