医学講座
ほくろとメラノーマの鑑別
札幌美容形成外科の診療メニューには、
ほくろ切除はありません。
もちろん、
ホクロをレーザーで取る治療もしていません。
一つの理由は、
ホクロ除去手術2017
…に書いた通り、
所得税法施行令第207条、所得税基本通達73-4のためです。
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美容目的のほくろ除去手術は、
保険適応になりません。
国が決めた決まりだからです。
もう一つは、
美容外科や、
美容皮膚科で多く行われている、
レーザーや機器によるホクロ除去では、
病理組織診断ができないからです。
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万一ほくろだと思って切除した部位が、
メラノーマだったとしても、
わかりません。
ホクロ除去からしばらくして、
あごの下や、
くびのリンパ節が腫れてきて、
大騒ぎになることがあります。
患者さん本人も忘れていることがあります。
■ ■
私は研修医の頃に、
悪性黒色腫をたくさん治療した皮膚科の大先輩から、
ホクロは悪性化したら大変です。
ホクロを焼いて刺激して、
その上、取り残して…
もし…
万一悪性化したら取り返しがつきません
ホクロは切除して病理検査をすべきです。
…と教えていただきました。
■ ■
私自身も、
メラノーマの患者さんを看取ったことがあります。
たった1個のホクロが、
もしメラノーマだったら大変なことになります。
何度も言いますが、
経験を積んだ皮膚科医ですら、
ほくろとメラノーマの鑑別は難しいです。
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しみの診断は難しいです
…に書いたことです。
私が心配するのが、
【相談無料】の美容外科や美容皮膚科です。
○○スキンクリニックなんて、
ピンクのど派手な看板が目に付きます。
皮膚科専門医ですら難しいシミの診断を、
学生時代に満足に皮膚科の講義も聴かなかった、
なんちゃって美容皮膚科医が、
なんちゃって美容外科医の先輩に教わって、
は~い、
おホクロの治療は簡単ですょ~
なんて治療をしてしまうことです。
■ ■
おいおい、
あんたね~
せめてダーモスコピーくらい撮って見ておかないと、
そのレーザーを当てようとしている黒い病変が、
MMえむえむ(悪性黒色腫)だったらどうするの?
訴えられたら、
100%敗訴だょ
…と心配したくなるようなピンクの看板のクリニックが、
そこらじゅうにあることが心配です。
専門医でも難しいのが、
ほくろやしみの診断です。