医学講座
先天性無眼球症
暖かい大阪から寒い札幌に帰ってきました。
パンジーが咲いているどころか土も芝生の雪の下です。
あと2ヵ月はかかりそうです。
第30回日本眼瞼義眼床手術学会(大阪)で勉強したことです。
とても有意義な学会でした。
学会長の大阪回生病院眼科、
今川幸宏先生に感謝しています。
私が感動したのは、
義眼師さんの発表です。
義眼を作ってくだる技師さんです。
毎回、この学会で発表されています。
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特殊な義眼の形状を呈するに至った先天性片無眼球症の1例
光安哲人1、光安佐織1、大慈弥裕之2
1有限会社アツザワプロテーゼ九州、2福岡大学病院形成外科
先天性無眼球症という病気があります。
生まれつき眼球がない赤ちゃんがいます。
片眼だけない赤ちゃんも、
両眼ともない赤ちゃんもいます。
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眼球がないので、
義眼を入れます。
たとえ見えなくても眼球のように(他人から)見えます。
ところが、
生まれつき眼球がないので、
義眼を入れるスペースがありません。
眼球がなくても、
上手な義眼が入ると、
見た目は改善します。
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赤ちゃんに目がないときは、
生まれてからできるだけ早く、
眼球の代わりになるものを装着して、
眼窩骨が発育するようにします。
この時に役立つのが拡張器です。
市販の拡張器はないので、
オーダーメイドで作ることになります。
活躍するのが義眼師さんです。
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アツザワプロテーゼ九州の、
光安哲人さんはプロフェッショナルです。
患者さんのご両親と協力して、
拡張器(ブジー)を制作されました。
私が市立札幌病院に勤務していた頃に、
無眼球症の患者さんから相談を受けたことがありました。
残念なことに、
当時はいい解決法が見つけられませんでした。
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先天性無眼球症の患者さんでも、
上手に義眼を入れるスペースをつくって、
上手に作っていただいた義眼を入れると、
見た目は大きく変わります。
アツザワプロテーゼ九州の、
光安哲人さんがつくられた、
拡張器(ブジー)と義眼のおかげで、
すばらしい目ができていました。
感激しました。