医学講座

個別接種悩む診療所

 今日は2021年6月12日(土)です。
 ワクチン接種が遅れている北海道です。
 北海道新聞には、
 連日、丁寧に取材された記事が載っています。
 ワクチン接種を担当する、
 医療機関の事情がよくわかります。
 ぜひ読んでいただきたい記事です。
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 2021年6月12日、北海道新聞朝刊の記事です。
 個別接種悩む診療所 札幌 外来と並行 枠縮小も
 75歳以上の高齢者を対象に新型コロナウイルスのワクチン接種が進む札幌市で、個別接種を担う診療所が苦慮している。大半は小規模で人手が少なく、通常診療と並行して予約受け付けや接種をこなさなければならないが、負担が増し接種枠を縮小した医療機関も出ている。高齢者接種の加速を目指す札幌市は、医療機関に対し休日や夜間の接種拡大を求めているが支援はほぼなく、現場から嘆きが漏れる。
 「体調は悪くないですか」。さっぽろ駅前内科・内視鏡クリニック(札幌市北区)で9日、近間威彦院長(52)がかかりつけの女性(83)に問診し、ワクチン接種に問題はないと判断した。看護師は15分ほどかけてワクチンを希釈後、女性に接種。その後、待合室で15分ほど待機してもらい、体調に変化がないか気を配った。
 医師や看護師らクリニックの全スタッフ6人が接種に当たる。当初は1日30人を想定していたが、今は6人が精いっぱいだ。接種は通常診療の合間を縫って行っており、近間院長は「人手が足りず、大規模な集団接種会場のように効率化を図ることは難しい」という。
解約の対応負担
 頭を悩ませるのがキャンセル分の扱いだ。個別接種で余ったワクチンについて、札幌市からは65歳以上へ接種するよう要請されている。このため予約リストから該当者を探さなければならないが、高齢のかかりつけ患者が少なく負担は大きい。近間院長は「キャンセルの扱いを医師の裁量に任せてくれれば負担は減るのに」。
 市内にある約1600の医療機関の9割が、入院病床19床以下か、外来患者のみを診察する「クリニック」や「医院」などの診療所だ。市が高齢者のワクチン個別接種を依頼している医療機関600カ所の大半も診療所。市内でこれまで1回目の接種を終えた75歳以上は約11万3千人で、このうち個別接種が73%を占めており、診療所がワクチン接種に果たす役割は大きい。ただその現場は業務に負われ悲鳴を上げている。
7月完了は困難
 政府は65歳以上の接種について、「7月末完了」という目標を掲げている。だが、その達成が見込めない医療機関もある。
 勤医協もみじ台内科診療所(同市厚別区)は週90回のペースで接種を担うが、すでに7月末までの予約が埋まった。75歳以上の高齢者の予約申し込みは後を絶たず、8月以降の予約も受け付けているという。
 政府の支援策のうち、同診療所は1回当たりの接種対価2070円という財政支援が該当するが、佐久間哲院長(66)は「新たな接種スタッフを雇うだけの金額にはならない」。一方、同市は65~74歳のワクチン接種券を順次発送しており、同診療所は「予約の電話が殺到し、再び受け付け業務が混乱するのではないか」と懸念する。
 北海道科学大の秋原志穂教授(感染症看護学)は「札幌市は接種業務を医療機関にほぼ丸投げしている。キャンセル分の扱いなど、医療機関のやりやすいように現場に目を向けて、柔軟に対応していくべきだ」と指摘する。(佐藤圭史)

さっぽろ駅前内科・内視鏡クリニックで接種する高齢女性。通常の診療の合間に問診や接種に追われている=札幌市北区(浜本道夫撮影)
(以上、北海道新聞より引用)

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 私が以前から主張している通りです。
 2070円では無理です。
 実は6月から政府の予算が増えて、
 2070円より増額されています。
 多く打ったクリニックに、
 たくさん予算が配分されます。
 それでもできない理由があります。
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 北海道新聞に書いてあるように、
 ワクチンの取り扱いが大変です。
 1バイアルを溶解すると、
 6人分です。
 溶解すると6時間以内に使わないと廃棄です。
 65歳以上の人にしか打てないので困ります。
 せっかくのワクチンが無駄になります。
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 近間院長は
 「キャンセルの扱いを
 医師の裁量に任せてくれれば
 負担は減るのに」

 せめて他の人に自由に打たせてくれれば、
 ワクチン接種はもっと楽にできます。
 制限を緩和していただきたいです。
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 もう一つの悩みはです。
 ワクチン接種でクラスターを出したら、
 診療所は倒産の危機です。
 密にならないように
 通常診療の間に打つのは難しいです。
 私も札幌美容形成外科にいらしてくださった患者さんに、
 ワクチンを接種してあげたいです。
 でも、今の体制では無理です。
 接種会場のお手伝いなら行けそうです。
 これが66歳の医師の本音です。

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