医学講座
形成外科専門医試験②
専門医10症例
…という2007年7月31日の院長日記に書きました。
4年間の形成外科研修中に、
自分自身が術者として手術を担当した術前・術中・術後の写真、
詳細な病歴、手術記録などを学会に提出し審査を受けます。
手術の腕前を写真で判定するのが、
形成外科専門医試験の特徴です。
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私が認定医になった時代は、
若い医師が手術を担当しても不思議には思われませんでした。
私が「今度手術を担当させていただくことになった本間です」と申し上げても
「よろしくお願いします」と言われた時代でした。
私が手術を担当する時でも、
必ず上の先生がついて手術をしていました。
■ ■
問題なのは唇顎口蓋裂など先天異常の手術です。
出生数の減少と医科大学の増加で、
形成外科医一人が
一生の間に手術する唇顎口蓋裂の数は減少しています。
生後3ヵ月の赤ちゃんの手術を、
専門医試験のために研修医に任せてくれる親などいないと思います。
赤ちゃんの写真を
専門医試験の書類に使わせていただく同意も取れないと思います。
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唇顎口蓋裂のような手術は、
大学の講師クラス以上の先生がするのが一般的になっています。
研修医は手術に入って、
術者の助手をするのが精一杯で、
形成外科研修3年目とか4年目に任せられる手術ではありません。
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私も最初から上手にできたのではありません。
先輩に教えてもらって、
ドキドキしながら手術をして、少しずつ上達したのです。
私が幸せだったのは、
丁寧で上手な先輩が何人もいて、
実に家族的な雰囲気の医局で育ったことです。
外科医は職人です。腕のよい師匠について修行をしないと上手になりません。
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専門医試験で一番よいのは…
実際に手術をさせてみて…
どの程度の技量があるか…
審査委員の先生が判定することです。
自動車学校の卒業検定のような制度です。
でも実際には不可能です。
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私が知っている限りでは…
麻酔科指導医試験に実技がありました。
一部の大学の教授選考で…
実際の手術を見てもらって審査する大学があるようです。
一度に100人以上が受験するような専門医試験で…
実技試験は難しいです。
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専門医認定委員会の先生は、
提出された書類の書き方を見て、
押印忘れなどの不備がないかを見て、
その先生が…
慎重で正確な先生かどうかを見ています。
ちょっとでも怪しいと…
口頭試問で質問したり…
図を書かせてみて…
ほんとうの技量を見抜くと思います。
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まみ子師長さんのコメントのように…
書類準備の段階で専門医審査が始まっている事を認識するべきですね。
その通りです。
形成外科に限らず、
専門医を目指す若い先生は、
書類を書く段階から審査対象となっています。
入学試験の願書に不備があると受験できないのと同じです。
“形成外科専門医試験②”へのコメント
コメントをどうぞ
先生の教えは 教科書には書かれていない これから形成外科医をめざす人の教訓みたいですね。医療の現場でも書類に不備があってはなりません。 レポートの提出期限を忘れても×です。
全然違いますが、どんくさい私には車の免許は実技が難しかったです。
全く上達せず、教官も何とかなりませんか?と言う始末。
でもペーパーは実に簡単。
落ちる人がいる方が不思議でした。
でもペーパーは忘れました。
実技のみが残り、なんとか運転してます。
実技が大切だと切に思います。