医療問題
国、控訴を断念「顔に傷」補償の男女差
平成22年6月10日、朝日新聞夕刊の記事です。
国側、控訴を断念 「顔に傷」補償の男女差に違憲判断
労働災害で顔などに重い傷跡が残った場合、男性が女性より低い障害等級に認定される国の基準について京都地裁が違憲と判断したのに対し、国は6月10日、控訴を断念する方針を決めた。厚生労働省は「今年度中に労災の障害等級の基準見直しを検討する」としている。
裁判は、京都府内の男性が勤務先で作業中に顔などに大やけどを負い、2004年に労災補償の認定を受けたが、「女性より男性が低い障害等級と認定する基準は違憲」として障害補償給付処分の取り消しを求めて提訴した。京都地裁は先月、外見の傷についてだけ補償基準に大きな差があるのは「著しく不合理なもので、憲法にも違反する」として、給付処分の取り消しを命じる判決を出した。
労災保険法の施行規則では、労災補償の障害等級を程度に応じて1~14級に分類。顔などに重い傷が残った場合、男性は12級、女性は7級となる。12級は直前3カ月の平均賃金の156日分が一時金として、7級は平均賃金の131日分が毎年給付されるため、男女間の差が大きい。
■原告弁護団「見直し進めてほしい」
国の控訴断念方針を受けて記者会見した原告男性の弁護団の糸瀬美保弁護士は「男女平等の流れのなかで当然の判断をしていただいた。男性の障害等級を女性と同等に引き上げる形で見直しを進めてほしい」と話した。原告男性は「やけどで苦しんできたことが国に認められ本当にうれしい」と語ったという。
■ ■
2010年5月28日の院長日記で取り上げた…
顔の傷、男女差は「違憲」
という2010年5月27日の
京都地裁判決についてです。
形成外科医として、
以前からずっと疑問に思っていました。
2008年8月14日の院長日記
顔の価値:男女差
でも取り上げています。
■ ■
遅ればせながら…
厚生労働省は…
今年度中に労災の障害等級の基準見直しを検討するそうです。
私がご紹介した、
厚生労働省労働基準局監修、
労災補償
障害認定必携
が全面的に改定されると期待しています。
(発行:財団法人労働福祉共済会)
(2010年6月11日現在)
(財団法人労災サポートセンターから販売中)
■ ■
この労災補償の障害認定必携が、
全面改定されると…
各損害保険会社の、
給付基準も大幅に見直されます。
自動車事故をはじめとして…
顔にできたキズの後遺障害は、
この労災補償の認定基準が
基本になっています。
■ ■
生命保険会社の醜状痕(しゅうじょうこん)…
についての規定も同じです。
先日いらした…
住友生命の調査員の方も、
傷の大きさが10円銅貨以上か以下かで…
保険金が出るか…出ない…が
分かれると話されていました。
■ ■
顔の傷は…
たとえ一円玉の大きさでも気になります。
私たち形成外科医は
わずか0.5㎜の陥凹を
傷の端っこがボコっとへこんでいる
と言われます。
この次は、
顔の傷の運動制限について…
是非、
今年度中に見直しを検討して欲しいです。
“国、控訴を断念「顔に傷」補償の男女差”へのコメント
コメントをどうぞ
だいたいは諦めてしまっていた事を勇気を出して裁判され わかってもらえてよかったですね。少しづつ おかしいな?と思うような法律は改正されるとよいですね。
国が控訴しないと決定されたのですね。法律を改正すべきと立ち上がった京都弁護団の方々の訴えに、違憲に値するのでは?と控訴を断念された判断は正しいと思います。また、被災にあわれ辛い中、補償において、男女差がありすぎだと弁護士に相談の上、提訴された男性の勇気に感服です。等級内容の中身や範囲、特に顔、運動制限の範囲や定義も見直すべきだと思います。