医学講座
わきが手術と年齢⑥
ご質問に対する回答です。
手術後、ワキを固定して・・・
固定が解除された後、
肩を上げる動作などの指導も
先生が行っているのでしょうか?
それとも看護師さんが
指導されているのですか?
■ ■
固定解除後の、
肩を上げる…
つまりワキを動かす運動は、
私がしております。
一番痛いと言われます!
筋肉が発達した、
筋骨隆々とした男性が…
『いって~~ぇ!』
と足をバタバタして痛がります。
■ ■
わきがの原因となる部位の皮膚は、
薄く削られています。
注意深く腕を上げないと…
うすく削った皮膚の下に、
漿液腫(しょうえきしゅ)という
水がたまることがあります。
(実際には黄色の液体です)
これができると硬くなりやすいのです。
■ ■
軟膏を塗ったりするのは、
看護師が行いますが、
ワキの運動については私(医師)がしています。
硬くなった皮膚を…
柔らかくするのが大変です。
皮膚は大丈夫でも、
皮膚の下に‘スジ’ができることがあります。
これを瘢痕(はんこん)と言います。
■ ■
チェーン店の美容外科で手術を受けると、
お金を払うのは最初だけです。
20万円~30万円というところが一般的です。
(100万円は異常です)
チェーン店としては、
お客さんの来院回数が増えると、
経費がかかります。
できるだけ少ない通院で済むと、
クリニックとしては助かるわけです。
■ ■
ですから…
『通院は不要です』とか
『抜糸の後は通院の必要はありません』
と説明するのです。
ところが、
しっかり手術をすればするほど…
皮膚の下にキズができます。
臭いをとるための手術です。
おっぱいの横まで広範囲に手術をすると…
それだけ回復に時間がかかります。
■ ■
50歳を過ぎた男性は…
肩の動きが悪いので硬くなりやすいのです。
それと…
10代の高校生でも…
硬くなることがあります。
わきが手術の目安は、
脇毛が親と同じ程度になった時期です。
中学生や高校生は多感な時期です。
人生でもっとも傷つきやすい時期です。
■ ■
少しでも早く手術をしたいというお気持ちは、
本人だけではなく、
親にとっても同じです。
ところが…
15歳程度で手術をすると、
キズが赤く硬くなることがあります。
肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)と言います。
人生でもっともキズを目立たせたくない時期が、
一番キズが目立ちやすい時期なのです。
■ ■
形成外科医になりたての頃に、
先輩から教わりました。
キズが目立ちにくいのは、
生まれたばかりの赤ちゃん。
小学校入学までの子ども。
一年間に身長が何センチも伸びる、
成長期の子どもはキズが目立ちやすい。
形成外科医の言い伝えです。
高校卒業から大学生までが、
社会的に時間もあり、
わきが手術の適齢期だと
私は考えます。