医学講座
先輩からの教え
どんなに偏差値の高い医学部に入っても、
名医になれるという保証はありません。
外科医は…
自分の目で先輩の手術を見て、
技(わざ)を盗めと教えられました。
名医の手術をいくら見ても…
見るだけでは上手になれません。
自転車に乗る…
車の運転を覚える…
すべて同じです。
■ ■
昨日のTVで、
年間300例以上の心臓手術をする、
名医と、
それを覚える若い先生が、
放送されていました。
大学医学部で
機械を使ったシュミレーションも、
放送されていました。
医学部長が得意そうに…
説明をしていました。
■ ■
フライトシュミレータだけで、
ベテランパイロットができるなら…
航空会社も苦労はしません。
自動車運転のシュミレーターだけで、
F1のドライバーにはなれません。
車の運転も…
飛行機の操縦も…
外科手術も…
すべて先輩からの教えが役に立ちます。
■ ■
困難にぶつかった時に、
先輩はどう対処したか?
困った時に…
どうやって切り抜けたか?
自分一人で手術をしていて、
ほんとうに困った時に…
助けに来てくれる先輩がいるか…?
ここが運命の分かれ道です。
手術は独学では上手になれません。
■ ■
大学病院の偉い先生が、
世の中で一番手術が上手か?
というと…
必ずしもYESではありません。
大学の先生にとって一番大切なのは…
1、研究、
2、教育、
3番目くらいが臨床(手術など)、
というところでしょうか?
大学院に重点が置かれるようになって、
研究をしない教員は肩身が狭くなっています。
■ ■
私は、
よい先輩に恵まれました。
ほんとうに感謝しています。
大浦武彦先生が築かれた、
北大形成外科という医局で、
たくさんのことを教えていただきました。
私が卒業した当時は、
北海道に北大形成外科と
その関連病院しか
形成外科がありませんでした。
■ ■
卒後6年目で、
形成外科専門医を取得すると、
すぐに地方病院の医長になりました。
そこで…
北大から出張にいらしていただいた先生に、
手術を教えていただきました。
下の先生と苦労してした手術も…
たくさんありました。
■ ■
最初から手術ができたのではありません。
先輩からたくさん教えていただいて、
手を加えていただき、
時には、
手を代わっていただき、
【手術を交代することを手を代わるといいます】
少しずつ上達しました。
先輩を頼りにしなくても、
一人でできるようになったのは…
40歳を過ぎてからでしょうか?
■ ■
患者さんから、
ご指摘を受けて、
改善することもあります。
常に改善【カイゼン】を考え、
注意深く、
耳を傾けることが大切です。
ほんとうに役に立つ、
大切なことは、
教科書にも書いていないし…
学会でも発表されません。
先輩から口伝えに教えていただいたことです。