医学講座

わきが手術と年齢⑦

 ご質問に対する回答②です。
 先生に質問です。
 ブログにあるように
 年齢とともに
 アポクリン腺がなくなることはないようですが、
 それに比例して汗の量も増えるのでしょうか?
 唾液線は高齢になるにつれ弱り、
 唾液量が年齢とともに減りますよね。
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 加齢と発汗量について、
 本を調べてみました。
 年齢とともに、
 基礎代謝(きそたいしゃ)
 【車のアイドリングで消費するガソリンのようなもの…】
 は低下します。
 ですから、発汗量も減少するのが一般的です。
 ただ、女性は閉経に伴ってホルモンバランスが乱れ、
 発汗しやすくなる人もいらっしゃいます。
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 発汗は全身的な感染症でも多くなります。
 ‘熱’が出ると、
 ‘汗’をかきます。
 残念ですが…
 わきが治療の本にも、
 年齢とアポクリン腺の関係は書いていませんでした。
 一般的には、
 年齢ととともにアポクリン腺の数は減らなくても、
 機能は低下すると考えられます。
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 私は70代以上の方に、
 わきが手術をしたことがありません。
 解剖学教室でも、
 ご遺体でアポクリン腺の数を
 調べたことはありません。
 性腺や唾液腺は、
 ご高齢のご遺体でも‘存在’します。
 高齢になっても、
 臭いが気になるのは、
 入浴回数とか…
 脇が病気のために動かないので
 蒸れやすい…
 というような理由ではないでしょうか?
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 私はよく説明に使うのですが…
 どんなに可愛いペットでも…
 シャンプーをしなかったり、
 うんこや
 おしっこの
 始末をしないと臭います。
 ペットショップのお姉さんは、
 スプレー片手にいつもがんばっています。
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 わきが手術は奥が深く、
 難しい手術です。
 その割りに…
 形成外科医で…
 わきがを専門に研究している先生も
 いないように思います。
 元東京女子医大第2病院で、
 現在、新宿でクロスクリニックを開業していらっしゃる、
 石川浩一先生が、
 腋臭症の治療という本に次のように書かれています。 
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・腋臭症治療の評価は,治療効果,術後の整容的問題,術後合併症の危険性など総合的に考える必要がある。治療効果は真皮内の汗腺組織をより完全に切除することにより得られるが,皮膚を薄くすればそれだけ術後合併症の危険性や瘢痕拘縮の可能性が増える。
・血腫形成,皮膚壊死など合併症の防止は,術中の止血と術後の固定が重要であるが,患者にとっては,逆に固定期間の短縮,軽減が社会的にも重要である。
・切開の短縮と術後瘢痕の軽減は,患者,とくに若い女性にとって重要であるが,それにより,手術が煩雑になったり手術時間の延長を来すこともある。
・理想としては,傷をつけず,日常生活の制限なしに完全に臭いをとることであるが,これらの点はそれぞれが表裏の関係にあり,すべてを満足する方法はない。そこで患者の性別,年齢,症状,希望に合わせて,インフオームドコンセントを含めバランスの良い手術法を選択すべきと考えている。
・腋臭症には多くの手術法の報告があるが,それぞれに欠点があり,どの方法を行なうかは術者,施設により一定していない。
 (以上、腋臭症の治療、克誠堂出版、1998年、ISBN4-7719-0200-3の内視鏡下手術より引用)
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 つまり、たくさんの手術法があるということは、
 どの手術法にも欠点があるということです。
 また、
・臭いも汗も限りなくゼロに近づけたい!
・お休みは取れない!
・キズ痕も残したくない!
 という患者さんの要望を
 100%満たす手術はないということです。
 何歳で手術を受けるにしても…
 ご自分でよく調べて!
 この先生だったら!
 という方にお任せして下さい。

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