医学講座

先輩からの教え

 どんなに偏差値の高い医学部に入っても、
 名医になれるという保証はありません。
 外科医は…
 自分の目で先輩の手術を見て、
 技(わざ)を盗めと教えられました。
 名医の手術をいくら見ても…
 見るだけでは上手になれません。
 自転車に乗る…
 車の運転を覚える…
 すべて同じです。
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 昨日のTVで、
 年間300例以上の心臓手術をする、
 名医と、
 それを覚える若い先生が、
 放送されていました。
 大学医学部で
 機械を使ったシュミレーションも、
 放送されていました。
 医学部長が得意そうに…
 説明をしていました。
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 フライトシュミレータだけで、
 ベテランパイロットができるなら…
 航空会社も苦労はしません。
 自動車運転のシュミレーターだけで、
 F1のドライバーにはなれません。
 車の運転も…
 飛行機の操縦も…
 外科手術も…
 すべて先輩からの教えが役に立ちます。
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 困難にぶつかった時に、
 先輩はどう対処したか?
 困った時に…
 どうやって切り抜けたか?
 自分一人で手術をしていて、
 ほんとうに困った時に…
 助けに来てくれる先輩がいるか…?
 ここが運命の分かれ道です。
 手術は独学では上手になれません。
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 大学病院の偉い先生が、
 世の中で一番手術が上手か?
 というと…
 必ずしもYESではありません。
 大学の先生にとって一番大切なのは…
 1、研究、
 2、教育、
 3番目くらいが臨床(手術など)、
 というところでしょうか?
 大学院に重点が置かれるようになって、
 研究をしない教員は肩身が狭くなっています。
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 私は、
 よい先輩に恵まれました。
 ほんとうに感謝しています。
 大浦武彦先生が築かれた、
 北大形成外科という医局で、
 たくさんのことを教えていただきました。
 私が卒業した当時は、
 北海道に北大形成外科と
 その関連病院しか
 形成外科がありませんでした。
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 卒後6年目で、
 形成外科専門医を取得すると、
 すぐに地方病院の医長になりました。
 そこで…
 北大から出張にいらしていただいた先生に、
 手術を教えていただきました。
 下の先生と苦労してした手術も…
 たくさんありました。
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 最初から手術ができたのではありません。
 先輩からたくさん教えていただいて、
 手を加えていただき、
 時には、
 手を代わっていただき、
 【手術を交代することを手を代わるといいます】
 少しずつ上達しました。
 先輩を頼りにしなくても、
 一人でできるようになったのは…
 40歳を過ぎてからでしょうか?
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 患者さんから、
 ご指摘を受けて、
 改善することもあります。
 常に改善【カイゼン】を考え、
 注意深く、
 耳を傾けることが大切です。
 ほんとうに役に立つ、
 大切なことは、
 教科書にも書いていないし…
 学会でも発表されません。
 先輩から口伝えに教えていただいたことです。

“先輩からの教え”へのコメント

  1. さくらんぼ より:

    先輩からの教えは私たち 農家も同じです。 一番大事な剪定は 始めからできる人は居ません。教科書では一般的な事が 書いてあっても じっさいのさくらんぼやりんご・ラ・フランス・ブドウの樹は教科書と同じ形や同じ状態ではありません。先輩に何度も指導を受けながら勉強し、一人でできるようになり応用力も出てきます。毎年 剪定の時期は他の地区の指導者などを呼び 講習会を開き 又仲間と何度も 自分の剪定した樹を見て 助言したり してもらったりしています。これで完璧という事はなく一生勉強し 良い方向に改良して行きます。先生も良い先輩方に恵まれ 手術技を磨かれたのですね。
    今日は少し早いけれど 義母さんに お花を 届けてもらいました(近くの娘さんが花屋さんに嫁いでいます) 昼 お義母さんから電話がきました。あまり綺麗で みんなに 見せてるんだ と嬉しそうでした。花屋のチーちゃんからも電話がきました「さくらんぼ姉ちゃん、お花、届けにいったら ジュースやお菓子いただいてきたんだよ」
    今はどうしても 届ける時間がなく、母の日で忙しいのに一時間も離れたところに配達してくれてありがとうちーちゃん。

  2. さくらんぼ より:

    追記
    私は先輩である実母に 作業日記を書くように 教わりました。6年前まで母が 書いていましたが、5年前から 3年日記を買い 私が書いています。天気や どんな作業をしたか、他に山形の桜満開とか ・・去年の今日は何をしていたかよくわかります。今年始めは 進んでいた 果樹の成育も 4月末の寒さで 今現在 去年より 遅れてしまいました。疲れて 自分でも なんて書いたかわからないほどの字になってますが 毎日がんばりたいと思います。

  3. らずべりー より:

    そうですねぇ、教科書や参考書に書かれてない事、沢山ありますね。
    石の上にも最低3年、5年、10年なのかもしれません。切磋琢磨に頑張らないと、
    スキルが伸びずそのままになってしまいます。患者様や利用者様から言われて、
    改善策を講じたり工夫を加えないといけない場合があったり考えさせられる事もありますね。
    基本があって、応用したり工夫したりすれば改善出来る事も、実際ありました。
    教科書は、基本しか書いてないですが、わからない事(゚ω゚?)は参考書で調べてみて、わかる事もあります。

  4. らずべりー より:

    追記
    技術は見て盗めは、本当その通りだと思いました。
    例えば看護や治療も何通りか方法があるのでしたら、
    その方法が出来ないと長所や短所もわからないのかもと思ったりします。
    先生、頑張って下さい(^-^)

  5. たけ より:

    その番組は私も見ました。
    実際に若いドクターたちもみるだけだったり、シュミレーターだけでは実際に経験を積まなければ無理なんだろうなと感じました。

    私も昔・・・あるドクターにいろんなお話や実際にいろいろ教わりました。その先生が私にくれたハサミを今でも大切にしています。

    また新人のころとても怖いと思った看護師の先輩に毎日怒られていました。
    毎日怒られ、怖くてその人との夜勤はびくびくしながら過ごしました。
    でも数年たって自分が指導する立場になったときにおこっていたのではなく、細かく私がミスをしないように的確に指導してくれていたことが分かりました。
    その先輩とは今でも連絡を取っています。

    何年も経って今でも学ぶことはたくさんあり、指導することも出てきたとき、私はその先輩のように「鬼みたいに厳しく怖い」と後輩にはびくびくされています。
    今の私があるのは沢山のかかわってきたドクターや先輩、そして何よりも患者さんのおかげです。

    たくさん本を読んだり、教科書を読んでもどこにも「本当に大切な部分」は書いていません。
    「人間対人間で患者さんに接するということ」も教科書には書いていません。
    自分で努力して、学び、経験して手に入れることだと思っています。

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