医学講座
埋没法<適応を選ぶ>
埋没法はしない先生が…
いらっしゃいます。
とても腕の良い先生です。
老舗で繁盛していらっしゃいます。
どうして埋没法をなさらないのですか…?
…と以前の学会で質問がありました。
埋没法の糸で炎症を起こした人を…
何人も治療したので、
埋没法はしない。
…と答えていらっしゃいました。
■ ■
私が釧路労災病院に勤務していた頃です。
若い頃に東京で…
埋没法の手術を受けた女性が…
形成外科へいらっしゃいました。
数日前から…
二重のラインが取れて…
まぶたに炎症を起こしてきたので、
治してほしいというご希望でした。
立派なお仕事をしていらっしゃる、
素敵な女性でした。
■ ■
炎症を起こしていたまぶたから…
透明な糸が出てきました。
私はこの時にはじめて…
埋没法の糸を見ました。
糸を取ったら炎症は治りました。
総合病院の形成外科医をしていても、
埋没法で二重まぶたの手術はしません。
埋没法は、
美容外科で発達した技術です。
日本が発祥の地です。
■ ■
私がはじめて美容外科で、
二重の手術を見せていただいたのが、
札幌中央形成外科の武藤靖夫先生でした。
まるで手品を見ているようでした。
(武藤先生は手品の名人でした)
大学病院や総合病院にしか
勤務したことがない私は、
武藤先生の患者さんに対する姿勢を拝見して、
カルチャーショックを受けました。
武藤靖夫先生の技術は、
ご子息の英生先生へと引き継がれています。
英生先生は優しい優秀な先生です。
■ ■
私は埋没法も切開の手術もします。
適応を選べば…
埋没法は素晴らしい結果が得られる手術です。
埋没法は糸で二重のクセをつけます。
糸で皮膚を内側へ引っぱって、
二重のラインを作ります。
最初は糸が真皮(しんぴ)という、
皮膚の下で引っぱっています。
ラインがくっきり見える時期です。
そのうちに、
皮膚の下の眼輪筋(がんりんきん)という、
筋肉の中に結び目が入ります。
ちょうど落ち着いてラインが安定する頃です。
■ ■
糸の周囲には瘢痕(はんこん)という、
線維性の被膜(ひまく)ができます。
この瘢痕(はんこん)でできた被膜(ひまく)が
糸の代わりに皮膚を引っぱるようになります。
瘢痕(はんこん)は自分自身の組織ですから、
糸のように切れたり溶けたりしません。
ですから、埋没法で手術をしても、
生まれつきの二重と同じ構造が、
半永久的にできるのです。
■ ■
一口に埋没法と言っても…
方法はクリニックによって違います。
チェーン店でよく行われる、
瞼板法(けんばんほう)と、
挙筋法(きょきんほう)に大別されます。
難易度は挙筋法の方が上です。
一番大切なのは、
その人の目に合った手術を選ぶことです。
埋没法が取れたら…
切開の手術でしっかり治せることです。
埋没法で幸せな人生を歩んだ女性は…
たくさんいらっしゃいます。